金融緩和継続も家計物価見通しに大きな変化なく

2015年07月07日 08:27

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日本銀行はデフレから脱却するために大規模な金融緩和を行い続けているが、その効果はまだ「明確に現れている」とは言い難い状況が続いている

 現在、日本銀行はデフレから脱却するために大規模な金融緩和を行い続けているが、その効果はまだ「明確に現れている」とは言い難い状況が続いている。2日に日本銀行が発表した「生活意識に関するアンケート調査」によれば、5年後の物価について「かなり上がる」と回答したのは26%で、「少し上がる」と回答したのは58%だったことがわかった。日本銀行が大規模な金融緩和を行う直前の2013年2~3月の調査では、「かなり上がる」と回答したのは28%で、「少し上がる」と回答したのは54%であり、金融緩和導入から2年以上が経ったものの、まだその効果は(少なくとも、市井の人の間までは)及んでいないようだ。

 この「生活意識に関するアンケート調査」は5~6月に4000人を対象に行われ、54%から回答を得た。そのうち、1年後の物価について「上がる」と回答したのは82.0%であり。前回調査が行われた3月の81.6%よりも上昇した。また「1年後の物価は現在と比べて何%程度変化すると思うか」という質問については、平均値で4.8%上昇、中央値で3.0%上昇となった。5年後の物価については、「上がる」と回答したのは84.2%で、前回の調査の83.9よりも上昇した。毎年の変化率は平均値で3.9%上昇、中央値で2.0%上昇という結果であった。

 また同日に日本銀行が発表した6月の「企業の物価見通し調査」によれば、1年後の見通しについては平均値で1.4%上昇、5年後の見通しについては前回の調査と同じ1.6%だった。このことから、日本銀行は16年度前半までに2%の物価上昇目標を達成するとの見通しを立てているが、家計では1年後の物価指数の上昇率が4.8%であったのに対して、企業では1.4%と前回の調査と横ばいの結果であり、家計と企業とで物価上昇に対する考えに開きがあることがうかがえる。

 特に大企業の間で慎重な姿勢が目立っている。大企業製造業の1年後の物価の見通しは1.0%で、3年後は1.1%にとどまっている。これに対して、中小製造業では1年後では1.5%、3年後には1.7%という結果となっている。
 
 日本銀行では2%の物価上昇目標の実現には、家計や企業などの物価観の転換が重要であると考えており、これらの調査での物価上昇の見通しに注目がなされている。(編集担当:滝川幸平)