今月に入って各企業の2015年3月期決算が続々と発表されたが、27日、日本銀行が14年度の決算を発表した。それによれば、最終利益にあたる当期剰余金が前年度と比べて2847億円プラスの1兆90億円となったことがわかった。こうして剰余金が1兆円を超えるのは、01年以来13年ぶりのこととなる。日本銀行が行っている量的・質的金融緩和による大量の資産買い入れにより、保有資産の利息・配当収入が増加したことが寄与したものとみられる。
経常収益は前年度と比べて4989億円プラスの2兆782億円、また経常費用を差し引いた経常利益は前年度と比べて4331億円プラスの1兆7137億円であった。経常収益の増加は、量的・質的金融緩和により大規模な国債の買い入れを続けていること、また円安進行により外貨資産の拡大などが寄与したものとみられる。内訳を見てみると、プラス分のほとんどをそれら国債の利息や外国為替収益が占めている。国債利息は前年度と比べて2382億円のプラス、外国為替収益は前年度と比べて2287億円のプラスという結果だった。そして経常利益も4年連続の増益。1兆7173億円と1998年以来の高水準であった。
この結果、日本銀行は剰余金のうち25%にあたる2522億円を法定準備金として積み立てた。この金額は、98年の新日銀法施行以来最高の額となる。その法定準備金と配当金を差し引いた剰余金の残高7567億円を国庫に納付した。
そして14年度末の自己資本比率は8.20%であり、前年度末の7.74%から数値が上場。これは、上記の過去最高額となる法定準備金や外国為替等取引損失引当金3800億円を積み立てたことが寄与している。日本銀行は財務の健全性の目安として自己資本比率8%という数値を設定しているが、今回これを上回ることとなった。こうして目安である8%を上回るのは、01年度以来13年ぶりのこととなる、
日本銀行は14年10月より、量的・質的金融緩和を拡充して上場投資信託(ETF)などの価格変動リスクが大きい資産の購入を増加させている。今回の剰余金25%にあたる法定準備金の積み立ては、そのための自己資本の増強だ。こうして自己資本を増強させた日本銀行が、今後さらに追加緩和を行うのかどうか、市場では今後の動向に熱い視線を注いでいる。(編集担当:滝川幸平)