経済産業省は3日、2015年度第2四半期(2015年7~9月期)の国内鋼材需要見通しを発表した。それによれば、前年同期比3.4%ダウンの2421万トンになるとの見通しを示した。また粗鉄生産量については前年同期比6.1%ダウンの2618万トンとの見通しを発表。7~9月期としては09年の2423万トン以来の低水準となった。経済産業省によれば、建設業界や自動車業界で回復感が欠けていること、また鋼鉄各社の在庫水準が高水準にあることなどが影響しているという。
国内鋼材需要見通しのうち、建設部門の「土木」は前年同期が予算執行前倒し効果により高水準だったことが影響して、前年同期比3.7%ダウンの172万トンとの見通し。「建築」も住宅では前年同期を上回るものの、非住宅では前年同期が高水準であったためマイナスの見通しとなり、「建築」全体でも前年同期比1.7%ダウンの379万トンとの見通しがなされた。そして建設部門全体では前年同期比2.4%ダウンの552万トンとの見通し。
製造部門では「自動車」が前年同期比2.9%ダウンの269万トンであり、「産業機械」も前年同期比2.5%ダウンの133万トンとの見通しで、そのほか「二次製品」「容器」なども前年同期を下回るとの見通しがなされた。その結果、製造部門全体も前年同期比1.8%ダウンの707万トンとの見通し。
鋼材の輸出については、アジアなどで供給過剰が続いていることなどの影響により普通鋼は微減、特殊鋼も前年同期のエネルギー関連輸出が高水準であったことなどが影響してマイナスとの見通し。その結果、輸出全体でも前年同期比5.0%ダウンの828万トンとの見通しがなされた。
そして粗鉄生産量は前年同期比6.1%ダウンの2618万トンになるとの見通しで、7~9月期としては09年以来6年ぶりとなる低水準。6年ぶりの低水準となった背景には、建設用や自動車用などで鋼材需要が伸び悩み、在庫が積み上がってしまっていることなどがある。鋼鉄業界の大手は7月以降も生産量を抑制する見込みで、業界としては早期に在庫を適正水準にまで引き下げることを目標としている。(編集担当:滝川幸平)