梅雨から盛夏までの間、ゲリラ豪雨でびしょ濡れになった経験がある人も多いだろう。びしょ濡れどころか、甚大なる被害が出ることも多い。これがもし予知できるとしたら、素晴らしいことだ。
大阪大学大学院の研究グループ、大阪府、東芝<6502>は、同大学に設置している特殊な気象レーダを活用し、豪雨発生の予兆を検知するシステムの実証実験を開始した。
これは、内閣府「総合科学技術・イノベーション会議」が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)における「レジリエントな防災・減災機能の強化」プロジェクトの中の「豪雨・竜巻予測技術の研究開発」の一環として実施するもので、実証期間は2年間を予定している。このシステムの構築により、ゲリラ豪雨に伴う冠水などの被害を事前に防止する対策を講じることが可能になると期待されているという。
今回の実証実験では、ゲリラ豪雨をもたらす積乱雲の発生過程の詳細な3次元構造を、30秒以内で観測できる特殊気象レーダと、降雨量を正確に観測できるレーダのデータを併せて解析して、ゲリラ豪雨の発生を事前に情報提供するとしている。この結果は大阪府の水防本部や出先事務所などに設置されたシステムにメールで配信するとともに、パトランプを点灯させて通知する。このシステムを大阪府内10箇所で運用し、防災対策におけるシステムの有効性の検証を行うという。
大阪府は、この実証実験において、水防本部や出先事務所等で本システムを実際に利用し、気象観測の有効な情報の一つとして活用する。8月下旬を目途に本実証実験についての見学会を別途行う予定だという。
まだ実証実験が始まったばかりなので、実用化されるまでは数年はかかるだろう。しかし2020年の東京オリンピックに間に合えば日本の技術の高さが再注目されることは間違いないし、何より訪日外国人観光客に強いインパクトと与えるだろう。(編集担当:久保田雄城)