大阪府でも森林環境税が導入か 都市におけるその意味とは

2014年10月07日 08:35

画・大阪府でも森林環境税が導入か 都市におけるその意味とは

大阪府では、有識者による森林保全と都市緑化推進に関する検討会議を開催してきたが、このたび中間とりまとめ案を発表した。ここで「森林環境税」の導入が提言された。今後、府民の意見も聞いて導入に向けて検討を進めていく方針のようだ。

 大阪府では、有識者による森林保全と都市緑化推進に関する検討会議を開催してきたが、このたび中間とりまとめ案を発表した。ここで「森林環境税」の導入が提言された。今後、府民の意見も聞いて導入に向けて検討を進めていく方針のようだ。

 森林環境税とはあまり聞かれない言葉であり、初めて聞く方も多いだろう。環境税とも細かく言うと違うらしい。森林が持っている水質や土砂災害の防止といった自然が持つ機能が低下しないよう、様々な施策や事業を行政が行い、そのために必要な費用を税金として住民が負担する趣旨のものだ。似たような税金はほかに水源税といったものもあり、森林の水源涵養機能の回復・維持のため整備等の事業を行い、そのための費用を税金とする。ちなみに、地方税法に定めのない法定外目的税ということになる。

 この背景にあるのが、山林の荒廃が深刻になっていることだ。間伐を人材不足で行えなくなった、予算が確保できないなどの声も地方自治体から多く挙がっている。今回の取りまとめにあるように「近年の集中豪雨の増加や病害の発生、また、木材価格の低迷や林業従事者の減少・高齢化など、林業を取り巻く厳しい状況のもと、所有者の主体的な取組みだけでは追いつかず、森林整備の遅れによる機能の低下が危惧」というのが大阪府の主張だ。

 世界40都市の国際競争力を比較するランキングによれば、大阪市の総合評価は23位であり、緑についての評価は31位、大阪府域における一人あたりの公園?積は、全国一少なく、大阪市の緑被率は、主要都市の中で最低水準にあるとのこと。

 森林環境税は各地で導入がされるようになり、高知県が2003年に制度化して以来広まっている。林野庁によると、 30 以上の自治体において、導入されている。関西でも滋賀県は琵琶湖森林づくり県民税、奈良県は森林環境税、和歌山県は紀の国森づくり税、兵庫県は県民緑税が既に存在する。

 生物多様性、地球温暖化対策、環境教育などの事業も並ぶ。とても大事なことだろう。しかし、本来は、現在の財政の中で行革を進めていって予算を確保すべきだろう。「いいことだから税金を」というのは安直すぎる発想ではないか。(編集担当:久保田雄城)