三菱電機が静止気象衛星「ひまわり 8号」の打ち上げへ

2014年08月25日 06:48

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天気予報はもとより、台風・集中豪雨・気候変動などの監視・予測や、船舶や航空機運航の安全確保を目的とする静止気象衛星「ひまわり8号」。観測データは日本およびアジア・太平洋を囲む 30 カ国以上に提供される。

 三菱電機<6503>は22日、2009年7月に気象庁から受注した静止気象衛星「ひまわり8号」の製造を完了したと発表した。「ひまわり8号」は鎌倉製作所から出荷・輸送し、種子島宇宙センターに搬入されH-ⅡAロケットにて10月 7 日に打ち上げられる予定。

 「ひまわり8号」は、「ひまわり7号」の後継機として天気予報はもとより、台風・集中豪雨・気候変動などの監視・予測や、船舶や航空機運航の安全確保を目的とする静止気象衛星。観測データは日本およびアジア・太平洋を囲む30カ国以上に提供され、各国の災害対策にも貢献する。

 世界最先端の観測能力を有する気象観測センサの搭載により、観測時間を3 分の1に短縮、さらに観測画像の解像度が2倍に向上するとともにカラー画像も取得できるなど、観測性能が大幅に向上する。

 同社は、国際競争入札において「ひまわり7号」の製造で培った信頼性と経験に基づく提案を行い、気象庁から技術・コスト面を含めた総合的な評価を獲得して 2009年7月に落札した。以降、5年の歳月をかけ製造を進め、このたび製造を完了した。

 「ひまわり8号」は同社製の標準衛星バス「DS2000」を使用した 8機目の人工衛星だ。現在運用中の「ひまわり7号」を含めて、これまで打ち上げられた「DS2000」を使用した人工衛星は全て順調に運用(2014年8月22日現在)されており、今後の打ち上げ予定分を含めると合計で 15 機になる。

 全長約8m(軌道上展開後)、衛星バスは三菱電機標準バス「DS2000」。設計寿命は15年以上、ミッション運用寿命は8 年以上。質量 はドライが約1300kg、打ち上げ時が約3500kg。解像度は可視が0.5-1km、近赤外が1-2km、赤外が2km。観測頻度はフルディスク10分毎、日本域2.5分毎。機動観測域2.5 分毎。バンド数は可視域が3種類(カラー合成可能)、近赤外域が3種類の画像、赤外域が10種類の画像である。

 三菱電機の気象衛星事業は、気象衛星分野では、「ひまわり7号」(2006 年に打ち上げ)、「ひまわり8号」に続き、現在製造中の「ひまわり9号」(2016 年に打ち上げ予定)を含めると、延べ 20 年以上になるという。これまでは、運輸多目的衛星「ひまわり7号」、準天頂衛星初号機「みちびき」、通信衛星「ST-2」(シンガポール/台湾向け)、通信衛星「TURKSAT-4A」(トルコ向け)運用中である。また、静止気象衛星「ひまわり9号」、通信衛星「TURKSAT-4B」(トルコ向け)、準天頂衛星 2~4 号機を開発中である。(編集担当:慶尾六郎)