JAHBnet全国大会、今後は「家事をしない男がつくった家はダメ」の声を反映させる

2015年07月11日 18:09

JAHBnet

大会会場に展示された女性だけ30名によって組織された「住みごこちのいい家委員会」、その委員会の意見を反映させた開発した玄関収納の習作。濡れたコートもそのまま収納できる  

 アキュラホームが主宰するJAHBnet(ジャーブネット)は、住宅合理化システム「アキュラシステム」を導入した全国の地域工務店・ビルダーを結ぶネットワーク組織だ。20年前に組織され、現在では住宅供給団体としては日本最大となる約298社が参加している。参加する各社は、それぞれ独立自営のビルダーとして主体性を保ちながら、先進の技術や最新の住宅関連情報を組織として共有化している。地域に根ざした工務店(ホームビルダー)ならではの活動に、全国規模のスケールメリットを取り入れることで、家づくりにおける効率化とコストダウンを達成してきた。JAHBnetは、品質、デザイン、価格バランスが良く、適正価格の“住まい”を全国の地域工務店とともに普及させている。

 全国の住宅建設は、消費増税前の駆け込み着工、その増税後の停滞が続き、矢野経済研究所の調査によれば、2014年度の新設住宅着工戸数は80万個程度で前年比89.8%となっている。持ち家の新築戸数にいたっては、前年比78.4%まで落ち込んでいる。

 JAHBnetを主宰するアキュラホームでも2014年度は、13年ぶりに新築住宅の引き渡し戸数が前年を下回り、売上高349億円と21年ぶりに前年を下回り前年比88.1%となった。

 しかしながら、2015年半期に入って明るい兆しもある。同社、住宅建設受注が6カ月連続で2桁増となり、受注も好調だという。

 そのJAHBnetが先般、第16回目となる「JAHBnet全国大会」ならびに「JAHBnetシンポジウム」を開催した。同ネットに参加するビルダーにも消費増税の波は押し寄せ、昨年度の受注住宅棟数は全体で6711棟(前年比92.7%)となったが、全国平均に比べて落ち込み幅は少ないといえる。事実、会員1社あたりの受注棟数は同ネットが目標とする年間20棟を維持、年22棟の実績を残した。
 
 主宰・事務局であるアキュラホームの宮沢俊哉社長は、「将来的には1社平均で年間30棟の注文を目指す」として、今大会のテーマ『「匠の技」を現代に活かし、“住まいの未来を豊か”にする』を掲げた。

 従来から宮沢社長は、“住宅”とか“製品”“商品”という言葉を使わずに「JAHBnetが提供する住みごこちのいい“住まい”を届ける」を是としてきた。そのために今回の大会で、「匠の心ルネサンス」とのキャッチコピーを標榜する将来像とし、「あるべき住まいづくり、暮らしづくりを追求するなかで、世界の匠とコラボレーションする」と語った。

 同時にJAHBnetが理想とする経営指標として、「自己資本比率40%以上」「営業利益率10%以上」「完工棟数20棟以上」とする具体的な数字をあげ、同時に「後継者育成」や「地域貢献できる企業」などとする理想・理念を掲げた。これは、会員各社が「現代の名棟梁」を目指すなかで、宮沢社長が述べた、「名棟梁は、名経営者でなければ」とした発言につながる。

 2015年、JAHBnetの活動のなかで注目すべきは、「世界の匠とコラボレーション」を超える連携を目指すことか。これまでも、建築家や有識者・学会、同業者を含む協力企業、世界的名匠、そして“住まい手”と連携して「住みごこちのいい“住まい”」を追求してきたが、今後は家電、家具、生活用品などを含めた異業種との連携を模索するという。そのための施策も着々と進めており、女性だけ30名による「住みごこちのいい家委員会」を組織、同委員会の意見を反映させた商品開発を行なっていくという。

 宮沢社長の報告によると同委員会委員の「日本のほとんどの住宅は“家事をしない”あるいは“家事ができない”男たちがつくった家。これでは主婦が住みやすい住居が出来るはずがない」という言葉が胸に刺さっているという。今回の大会会場にはそうした声を反映させた習作が展示された。(編集担当:吉田恒)