採決反対、おねがーい、委員長の声がかき消される怒号の中、採決に持ち込んだ浜田靖一衆院安保特別委員会委員長(自民党)が採決直後に、政府が10本の法案を1本にまとめて提出したことを問題視した。
「10本を束ねたのはいかがなものかと思っております」。委員長として全く無責任すぎる発言だが、本音だ。
安倍晋三総理にはそもそも丁寧に説明する姿勢などない。いかに抵抗勢力を抑え込み、かわして、法案を通すか。
安倍総理は国会審議前に米国上下両院合同会議で「安保法制の大改革をこの夏までに成就させる」と演説したばかりか、日米防衛協力の指針(新ガイドライン)を集団的自衛権の行使を含む安保法案の成立を前提に見直し、米国との公約と新ガイドラインに合わせる「形だけの国会審議」になっていることを、15日の衆院安保特別委員会の強行採決が浮き彫りにした。
石破茂地方創生担当大臣、塩崎恭久厚生労働大臣以外の閣僚や村上誠一郎衆院議員以外の自公の議員は、今回の安保法案がもたらす影響に全責任を負わねばならない。憲法違反の法案を強行に通すのだから。歴史に名を残す議員になるだろう。
さきのガイドラインでは米国領に向け飛ばされた弾道ミサイルを日本が撃ち落とすことを念頭にミサイル迎撃での協力が盛り込まれたほか、ホルムズなど国際海峡を念頭にしたシーレーン防衛のための機雷掃海協力などがすでに盛り込まれている。これらは集団的自衛権に該当するものだ。
従って、さきに約束ありきで、国会(衆院)での3分の2を超える与党(自民・公明)議席が、立憲主義、数のみの力による強行採決という民主主義を崩壊させる安保政策、安保法制の改悪をしようとしているとしか言いようがない。
自民・公明両党は16日に衆院本会議で安保法案を通過させ、参院に送付する。参院での審議で野党がどこまで、政府の安保法案の違憲性を明確にできるか。参院60日の攻防のなかで、衆院選挙での「政権交代」も視野に入れた野党の実力が試されることになりそうだ。(編集担当:森高龍二)