日本百貨店協会によると、2月の百貨店売上高は4457億円あまりで、11ヶ月ぶりに前年を上回った。好天に恵まれ、客数を伸ばした店舗が多かった。春物衣料の充実やバレンタイン商戦に加え、中華圏の「春節休暇」も重なり、外国人観光客による消費が大きく伸長。株高も影響し、売上高は昨年4月の消費税率引き上げ後、初めて前年比プラスとなった。
これまで苦戦していた地方百貨店にも、明るい兆しが見えている。地区別では、富裕層と外国人観光客の消費が旺盛な東京(+5.3%、4ヶ月連続)、大阪(+0.5%、8ヶ月連続)の好調はもちろん、「札幌」も+5%と3ヶ月ぶりに伸びた。地方都市では「関東」が+1.5%とほぼ前年並みを確保したほか、「東北」(+0.7%)、「九州」(1.7%)なども前年実績を上回った。
商品別には、売上の約3割を占める衣料品が+2.3%と5ヶ月ぶりにプラスとなった。気温が高い日が続き、春物衣料がよく売れた。紳士服(+3.7%)、婦人服(+2.8%)、子供服(+5.8%)など、いずれも好調。外国人観光客から人気の高い「化粧品」は+7.7%と大きく伸び、全体を下支えした。バレンタイン商戦が堅調だった食料品は+1.2%で、11ヶ月ぶりに前年実績を上回った。
前年比をクリアできなかったのは、高級時計などの「美術・宝飾・貴金属」(-1.1%)。ただ、昨年2月は消費増税前の駆け込み需要が大きかったことを考えると、宝飾品類の売上高は、ほぼ前年並みといえるだろう。
外国人観光客による売上高は、前年比+235.8%と大幅増。今年は春節休暇の時期が昨年とずれているため、その影響もある。一方で、各店舗が中華圏からの観光客増に向けた事前準備を整えた効果も大きい。アジアからの観光客増で、売上高は単月として初めて150億円台を突破した。
全体としては好調だが、東京では3月中旬までの売上高が、前年比10%程度のマイナスにとどまっている。昨年3月は消費増税前の「最後の駆け込み需要」が大きかったため、今年3月の前年実績クリアは、かなり厳しいだろう。消費増税後1年の節目となる、15年4月の売上高に注目したい。(編集担当:北条かや)