安倍晋三総理は23日の経済財政諮問会議で「最低賃金の大幅引き上げが可能になるよう、中小・小規模事業者の環境整備やサービス産業の生産性向上に全力を挙げる」と語り「関係大臣に最低賃金引き上げに向けて対応するよう」指示した。
政府はこの日の会合で(1)経営者には、いまだデフレマインドが残り、賃金引上げに消極的な面があり、労働分配率が低下を続けている(2)「賃金の硬直性」はデフレ脱却・経済再生の重大なハードルになりかねない(3)持続可能なデフレ脱却・経済再生に移行するためには、名目賃金が物価上昇率以上に上がること、賃金が物価上昇をリードしていくことが重要で、その際、政府が一定の役割を果たすことも重要との認識を示した。
また最低賃金の引き上げは「個々の中小企業の経営を圧迫する面もある」として「円滑な価格転嫁対策、資金繰りの円滑化や生産性の向上に向けた事業転換を支える環境整備等を進める」としている。
政府資料によると、最低賃金程度の時給で働く労働者は2014年度推計で300万人程度。最低賃金+40円以下の時給労働者まで対象を広げると510万人程度になるとしている。政府は最低賃金の引き上げは労働者全体の賃金の底上げにもつながると期待している。(編集担当:森高龍二)