LINEは、ネット上のコミュニケーショントラブル根絶に向けた活動の一環として9月より、青少年におけるネット利用実態把握を目的とした10万人規模の全国調査を実施すると発表した。
また、ネット上のコミュニケーショントラブル根絶に向けた啓発プログラムとして、小中学生のネットリテラシーを養うマンガ教材、ならびに静岡大学と共同開発したワークショップ教材の改定版を発表した。
コミュニケーションアプリ「LINE」の月間アクティブユーザー数は約2億500万人に上っているという。これは特に国内においては、単なるコミュニケーションツールに留まらず、人々の生活を支えるコミュニケーションインフラとして浸透しつつあるといえる。
その一方で、インターネット上のコミュニケーションについて知識や技能が不十分な青少年によるトラブルが一部発生している。このような状況を受け、LINEでは、コミュニケーションサービス運営事業者としての社会的責任を果たすべく、2013年1月にネットリテラシーの啓発活動を行う専門部署を設立、以来、学校や教育機関で年間300回以上の講演活動や、静岡大学との共同による情報モラル教材の開発・ワークショップなどを行ってきた。
今回、啓発活動のさらなる強化およびネットトラブル防止に向けた研究のため、2015年9月より、東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース下山晴彦研究室と共同で、青少年におけるネット利用実態把握を目的とした10万人規模の全国調査を実施する。
この調査は、全国の学校に協力してもらい、質問紙回答(アンケート形式)によって行うもので、学校で発生する従来型のいじめと、近年注目を集めているネットいじめの実態や関係性を把握し、対人関係、周囲の環境、メンタルヘルス、問題行動といった様々な要因との関連性について、教育工学、臨床心理学等の学術的側面からも多角的に調査する。
その後、2016年1月より調査検証を行い、3月頃を目処に一次結果を公表予定。さらに、調査において取得した全ての回答データは、匿名加工をし、特定の個人や学校等の情報が一切分からない形で研究者・教育関係者に公開し、今後の様々な青少年のネット利用に関する安心安全な環境整備に関する研究や対策に役立てもらうことを想定しているという。
また、このほか、ネット上のコミュニケーショントラブル根絶に向けた啓発プログラムとして、小中学生のネットリテラシーを養うマンガ教材ならびに静岡大学と共同開発したワークショップ教材の改定版を発表した。
9月提供開始予定のマンガ教材は、小中学生を対象に、ネット上のコミュニケーションと、対面のコミュニケーションの違いについて考えることをテーマにした教材。「読むことで理解する教材」ではなく、登場人物の表情や仕草から「情報を読み解く教材」として活用できるよう、物語の設定や状況を理解しやすい「マンガ」をベースに開発した。
また、8月末提供開始予定の新ワークショップ教教材は、昨年、国立大学法人静岡大学教育学部と共同研究・開発した小中学生向け情報モラル教材の改訂版。「自分と他人の価値観の違いに再度気づく」というテーマで作成している。全国の学校(小・中・高)に当社社員を派遣してワークショップ授業を数多く実施してきた知見・経験と、教職員から頂いた意見をもとに、教材を再開発した。(編集担当:慶尾六郎)