子どものスマホ普及率が上昇している中で、スマホから交流サイトにアクセスして性犯罪などに巻き込まれるケースが後を絶たない。総務省はフィルタリングサービスの強化をSNS運営会社や携帯電話会社に求めている。
子どものスマートフォン利用の広がりに伴い、性犯罪やいじめなどの問題が深刻化している。総務省は7月に有識者会議を実施し、SNS運営会社や携帯電話会社に積極的な対策を求めた。取り組むべき問題として挙げられているのが、有害サイトの閲覧を制限する「フィルタリング」機能の強化だ。
フィルタリングサービスは携帯電話会社が無償で提供しているが、利用者の意志で容易に解除することができる。また無線LANなど、契約している携帯電話会社以外の回線を利用した場合にはフィルタリングサービスが無効となってしまうこともある。月額料金を支払って利用できるフィルタリングソフトもあるが、パスワードを知られないよう保護者がしっかりと管理する必要もあり、費用と手間がかかる分、普及が進んでいないのが現状のようだ。
総務省はフィルタリングサービスの利用率を向上させるために、利用者がサービスを解除しようとしたときには危険性に対する注意喚起を呼びかけるよう携帯会社電話などに要請した。解除手続きの際には動画による説明を加え、フィルタリングを取り外すことの危険を十分知らせるなど工夫を求めた。
民間会社でも独自の取り組みを行っている。無料通信アプリのLINEは、利用者が子どもである場合、電話番号を他人に知られないようにするためにID検索機能を停止する措置を設けた。グリー<3632>は出会い行為や犯罪、自殺に関連したメールのやりとりを禁止。24時間365日投稿を監視し、違反行為が確認された場合にはすみやかに削除しアカウントの停止も行うとしている。
子どもを守るための対策は徐々に進んではいるものの、被害を抑えるまでには至っていない。警察庁の調べによると、2013年下半期の交流サイト利用による性犯罪の被害児童は695人で、被害に遭った子どもの約90%が携帯電話を使用していた。このうちスマホを利用していたのは467人にのぼる。交流サイトを利用する際に保護者から注意を受けていなかったのは60%程度となり、さらにフィルタリングサービスの加入率はわずか5.5%だったことも分かった。
しかし携帯電話の購入時には、ほとんどの児童が保護者と共に来店している。子どものスマホ利用に際して保護者への注意を徹底することや、交流サイトの危険性を児童に指導することが今後の課題となりそうだ。(編集担当:久保田雄城)