今年4月からスタートした「子ども・子育て支援新制度」。中でも「待機児童問題の解消」は強く謳われており、政府は2015年度からの5年間で、「放課後児童クラブ(学童保育クラブ)」の受け皿を30万人分増やす方針だ。実現できるかは未知数だが、学童保育クラブ事業の市場は順調に拡大している。矢野経済研究所が先月24日に公表したデータによると、14年度の学童保育市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比6.3%増の2862億円。15年度にはさらに5.9%増の3030億円となる見込みだ。共働き世帯の増加もあり、市場規模は2008年の2020億円から、7年間で1000億円近く拡大している。
学童保育サービスは、国の予算措置が曖昧であることや、補助金の少なさから、施設の設置に慎重な地方自治体も多い。施設数が需要に追いつかない一方、民間事業者が運営に乗り出す動きも活発化しており、特に「公立民営型」や「民立民営型」の施設が増えているという。
「民立民営型」の学童保育サービスは、保護者のニーズに細かく対応するのが特徴だ。子どもの預かりだけではなく、学習支援や習い事、閉所時間の延長や、夕食への対応など、多様化する保護者の要望に応える、新たな「学童保育クラブ」が次々に登場。近年は、民間業者がサービスやノウハウを既存の学童保育サービス事業者へOEM供給する事例もあるという。
ただ、学童保育サービス全体では、主な設置主体である自治体への支援がどれだけ強化されるか、疑問も多い。政府は「待機児童30万人分の受け皿づくり」や「指導員の確保や待遇改善」を謳っているが、子育て支援の質・量の拡充を図るためには、消費税率の引き上げで確保する0.7兆円程度を含めて「1兆円超程度の追加財源が必要」とされている。財源確保ができるかは未知数だ。内閣府の資料を見ても、高齢者福祉と保育園の待機児童解消が先決で、小学生向けの「学童保育クラブ」は後回しになっている感が否めない。学童保育クラブには、“小1の壁”(子どもが小1になった途端に「預け先」がなくなり、保護者が両立の困難に直面してしまうこと)を解消する機能が期待されている。質と量の拡充は、待ったなしである。(編集担当:北条かや)