分厚い「小1の壁」 働く母の前に立ちはだかる小学校の夏休み

2014年07月04日 12:28

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夏休み期間中、5人に1人の母親は「手を借りられる人がいない」としており、親が不在中に子供だけでの留守番も半数を占めるなどの実態が浮き彫りになった

 長い夏休みまで1か月を切った。子供にとっては楽しみであるはずの夏休みだが、働く母にとっては頭の痛い時期となる。アクサダイレクト生命の「小学生の夏休みの過ごし方調査」によると、子供の夏休み期間中、勤務時間の短縮など工夫をできる母親は正社員では12%、パート・アルバイトでも31%に留まった。夏休み期間中、5人に1人の母親は「手を借りられる人がいない」としており、親が不在中に子供だけでの留守番も半数を占めるなどの実態が浮き彫りになった。

 アクサダイレクト生命の調査によれば、夏休み期間中の親の不在時、「子供だけでお留守番」が全体の50.3%を占めていた。平均すると低学年が34.3%なのに対し、高学年は66.3%と学齢が高くなるほど「子供だけでお留守番をさせる」割合が高まる傾向にある。

 また夏休み期間中、「公立の学童保育に通わせる」は低学年で22.1%と4~5人に1人は利用していたが、高学年になると3.8%とほとんど学童には通わない。子供だけで留守番をさせる場合の子供の過ごさせ方は、「勉強」「DVD・テレビ」「ゲーム」の順に高かった。

 一方で仕事を持つ母親のうち、子供の夏休み期間中に「勤務時間を短くしている」のは正社員で 12.1%、パート・アルバイトが 31.3%。「工夫していることは特にない」は正社員が 78.8%、パート・アルバイトは 59.3%となった。「特にない」の正社員78%とパート59%は、裏返せば「工夫したくてもできない」人たちの割合と見ることができる。

 夏休みの期間中に配偶者以外で手を借りることができるのは、「親」が全体の65.7%。一方で「手を借りられる人がいない」は全体の18.1%。「手を借りられる人がいない」という回答を母親の就労状況別にみると、日ごろから預け先を確保していると思われる正社員の母親が 9.1%なのに対し、専業主婦は 20.2%だった。

 2009年に改正された改正育休法によって、3歳までの時短制度義務化や看護休暇の拡充など少しずつ働く母親の環境は改善されつつある。一方で女性が働く際に立ちはだかる「小1の壁」は依然として厚く、学童保育の拡充や労働時間の見直しなど、様々な施策をセットで実施する必要がある。政府が掲げる「女性の活用」。果たしてどこまで実現できるか、道のりは遠い。(編集担当:横井楓)