グリーの6月期、上場以来初の最終赤字

2015年08月08日 19:28

 今やスマートフォン(多機能携帯電話)向けゲームを巡る業界は、「群雄割拠」の様相を呈している。続々と新しいゲームがリリースされ、それにより各企業の業績が大きく揺れ動いている状態だ。先月も人気ゲーム「パズル&ドラゴン(パズドラ)」を運営するガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>が2015年1~6月期の決算を発表したが、それによれば課金率・ARPU(顧客単価)の低下が影響して、売上高は前年同期比12.7%ダウンの823億円、営業利益は前年同期比22.9%ダウンの414億円、経常利益は前年同期比21.3%ダウンの415億円、純利益は前年同期比18.0%ダウンの263億円と、それぞれ大きくマイナスとなった。

 そうしたなか、スマートフォン向けゲーム大手のグリー<3632>が5日、15年6月期(14年7月~15年6月)の連結決算を発表。それによれば、売上高は前年同期比26.4%ダウンの924億5600万円、営業利益は前年同期比42.2%ダウンの202億3300万円、経常利益は前年同期比30.6%ダウンの250億900万円、純損益は前年同期が173億4700万円の黒字であったのに対して、103億2200万円の赤字という結果であり、大幅な減収減益、そして最終赤字となった。こうして最終赤字となるのは、08年12月の上場以来、初めてのこととなる。

 グリーには「消滅都市」などの人気ゲームがあるものの、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴン」やミクシィ<2121>の「モンスターストライク」のような大ヒット作には恵まれていない。そうした「ヒット作」の不在、そして12年に買収したアメリカのゲーム開発会社「Funzio(ファンジオ)」の資産価値低下などにより160億円の特別損失を計上したことなどが影響した模様だ。

 そして同日に発表した15年7~12月期の業績予想については、売上高を前年同期比26.3%ダウンの365億円、営業利益を前年同期比46%ダウンの60億円、純利益を35億円の黒字を見込んでいる。前年同期の純利益は41億円の赤字であった。なお16年6月期通期の業績予想については、現時点で合理的な算定が困難として開示されなかった。(編集担当:滝川幸平)