凸版印刷消費行動研究室と慶應義塾大学文学部心理学専攻の梅田聡准教授が、脳科学・心理学の知見や実験手法を活用した、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイス上で人の「記憶に残る」「感情に訴える」情報提示のあり方を調べる共同研究を開始すると発表した。
スマートフォンやタブレット端末など、新しい電子メディアの利用者が急速に増加するに伴い、各種コンテンツとして、雑誌やカタログ、広告など紙メディアから電子メディアへの移行や、これらのデザインの多様化が進んでいる。しかし、両メディアの違いが人の視覚や心理、さらには脳に与える影響の違いは、必ずしも科学的に明確化・形式知化されておらず、このことは電子メディア上でのコンテンツ制作における大きな課題となっていた。
こうした課題に対し、脳の記憶定着のメカニズムに基づいた生体計測を行うことで、電子メディアによる情報提示のあり方を評価・検証することが重要であるとの認識のもと、共同研究を開始。具体的には、スマートデバイス上に表示されるカタログやパンフレット、アプリケーションなどを閲覧中の利用者の生体情報を、記憶の脳内メカニズムに基づき、認知神経科学の手法で計測し、その結果からコンテンツに対する利用者の記憶定着の程度を評価。さらに、従来の紙のカタログやパンフレットでの情報提示との比較も行うことで、電子メディアと紙メディアの相違点や共通点も調べる。
これらの研究を通じ、人間の情報処理における論理性や感情の影響などを明らかにし、その成果を、スマートデバイスを使ったコミュニケーションをより分かりやすくすることに活用。また、急速に普及するスマートフォンやタブレット端末などで、脳活動の視点に基づいた「記憶に残る」「感情に訴える」情報提示の実現を目指すという。どういった研究結果が示され、どう我々の目に現れるのか、注目が集まるところであろう。