安倍晋三総理は10日の参院予算委員会で、TPP交渉について「あと1回、閣僚会合が開かれれば、決着できるところまで来ている」と、現況認識を語った。
安倍総理は「交渉は最終局面が一番難しい。国益と国益がぶつかり合う厳しい交渉が続いている。我が国も国益を最大限実現し、いずれ、国会で承認頂ける内容の協定を早期に妥結できるよう全力をあげていく」と強い意欲を示した。
日本共産党の紙智子議員の質問に答えた。紙議員は「安倍総理はゴールテープに手が届くところまでやってきた。日米がリーダーシップを発揮して早期妥結を目指したいとされたが、実際には7月(28日から31日)の閣僚会合で大筋合意できなかった。合意できなかったのは各国でTPPが国民を幸せにするわけではないことが分かってきたからではないのか」と質した。
また紙議員「アメリカ議会でもエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党所属)はワシントンポスト紙で『TPPは多国籍企業一人勝ちの貿易』と言っている。私たちも、一部の大企業だけ栄え、国民は苦しくなると言ってきた」と懸念を提起した。
安倍総理はまず、7月の閣僚会合について「大きく前進したと思う」との受け止めを示し、「前進はしたが、最後の最後になると、それぞれの国が自分の主張をさらに強くするということが起きてきて、一部の国の物品市場アクセス交渉、知的財産分野の一部について各国の利害が対立し、交渉を終結させるに至らなかった」と答えた。(編集担当:森高龍二)