首都直下地震への備え、道のり遠く「備蓄3日分」企業は半数以下

2015年09月04日 07:07

 2011年3月11日の東日本大震災から、4年以上が過ぎたが、震災への備えはまだまだ不十分だ。東京商工会議所が今年7月、会員企業1万社に対して「防災対策に関するアンケート」を行なった結果、「全従業員の3日分以上の備蓄」がある企業は半数に届かなかった。前年度の調査と比べ、全体的に状況は変わらない(有効回答数は1833社)。

 都の条例では、努力義務として「全従業員分の3日分以上の備蓄」を定めているが、調査では飲料水が 47.1%、食料品が 43%と半数に届かなかった。また、災害用トイレは 31.6%と他品目よりも低い。東京都は「外部の帰宅困難者向けの10%余分の備蓄」を呼びかけているが、こちらも実行している企業は2割に届かなかった。

 従業員に対する安否確認手段は「メール」が約6割、「通話」が約5割。災害時には通信規制などで、メールや通話が利用できない可能性が高いが、安否確認に有効な「災害用伝言サービス」を利用すると答えた企業は32.2%にとどまった。さらに約6割の企業が、災害時に「家族との安否確認手段」を従業員に周知していなかった。

 万が一、勤務時間対に首都直下地震が起きた場合、自宅に帰れない人たちの「一時滞在施設」は約92万人分必要と想定されている。が、現状は約19万人分しかなく、大幅に不足している。各企業に対し、帰宅困難者のために「一時滞在施設として外部の人々を受け入れること」の賛否を聞いたところ、「協力する・協力する可能性がある」企業の合計はわずか6.2%だった。協力できない理由は「スペースがない」が最も多く50%、次いで「外部の帰宅困難者用の水・食料等の備えがないため(26.3%)」と続く。

 各社に「民間の一時滞在施設を増やすために有効な手段は何か」と尋ねた結果では、94.5%が「災害時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度」の創設が必要だと答えた。自社のスペースを解放して、そこで二次災害が起きた場合、すべての責任を事業者が負うことは大きなリスクだ。必要な数の「一時滞在施設」を確保するためには、民間企業の協力を得やすい「保障制度」を創設することが急務だろう。(編集担当:北条かや)