4G LTEで首都直下地震対策 KDDIが災害用大ゾーン基地局を導入

2014年03月12日 08:14

 4G LTEによる災害用大ゾーン基地局が設置された。KDDI<9433>は5日、4G LTEに対応した「災害用大ゾーン基地局」を導入したと発表した。首都圏における大規模災害対策として2013年4月より設置を開始し、2014年2月26日に首都圏エリアをカバーする全10局の設置が完了し、運用を開始した。

 4G LTEに対応した「災害用大ゾーン基地局の導入」は国内初。通常の基地局とは別に設置し、災害時のみに運用する基地局だ。通常基地局が停止した場合のみ稼働する。首都圏で直下地震が発生し、電話やデータ通信が停止した場合、通信1局で半径約7km以上の広範囲のエリアをカバーすることができる。音声通話はもちろん、4G LTEや3Gによるデータ通信も可能となるよう設計されている。

 また、耐震構造の建物や鉄塔に設置しているほか、長時間稼働のバッテリも備えている。通信センターとは無線伝送路中継局と光ファイバとの二つの伝送路を配備するなど、大規模災害発生時でも運転が可能となるよう信頼性を高めている。実際の災害時は、緊急通報や災害時優先電話を優先的に接続する。

 発災直後は、通話が大変混み合うことが予想されるため「災害用伝言板」や、「災害用音声お届けサービス」等のデータ通信による安否確認手段が利用できる。KDDIでは今後、各地での導入も視野に入れて検討して行く方針だ。また、通信サービスを活用した様々な災害対策を行っていくとしている。

 4G LTEは、基地局から端末までの下りの通信速度が75Mbpsから100Mbpsの高速モバイル通信規格。「G」はGeneration、つまり世代という意味で1G(第1世代)、2G(第2世代)と進み、2000年代に入ってからは3Gが主流となった。そして、現在、スマホの普及に伴い次世代の高速通信規格として4Gが注目されており、KDDI、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルといったキャリアがサービスを展開している。(編集担当:慶尾六郎)