14年のレンタカー市場規模は、前年比4.1%増の6,350億円。また、カーシェアリング市場規模は前年比45.3%増の154億円であった。矢野経済研究所では、国内のレンタカー&カーシェアリング市場の調査を実施した。調査期間は2015年5月~7月、調査対象はレンタカー事業者、カーシェアリング事業者、レンタカー利用者、カーシェアリング利用者など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、レンタカー・カーシェアリング利用者に対するインターネット調査ならびに文献調査を併用した。
それによると、2014年のレンタカー市場規模はユーザー支払金額ベースで、前年比4.1%増の6,350億円であった。需要分野別にみてみると、個人向け需要が2,350億円、法人向け需要(代車需要を含む)が4,000億円であった。
2014年は消費増税の影響を受けて個人利用が落ち込むことが懸念されたものの、消費者の節約志向の高まりにより、レンタカー利用が好調であったほか、訪日外国人のレンタカー利用が80億円規模まで拡大したことで、個人向けレンタカー需要は2,350億円となった。
一方、法人向け需要については、国内の建設需要を受けて比較的単価の高い建設用車両を中心に安定した需要が維持されたほか、一部の法人において社有車の減車に伴うレンタカー利用の増加等で、法人向けレンタカー需要は4,000億円となった。
一般財団法人自動車検査登録情報協会のデータによると、都道府県別の世帯あたりの乗用車保有台数(2014年3月時点)は大都市圏(東京都/神奈川県/愛知県/大阪府)において低い傾向があるという。今後こうした大都市圏には人口が更に集中することが予測され、これに伴い、レンタカー需要が活発化することが期待されるとしている。
また、2020年に向けては東京オリンピック開催なども控え、訪日外国人客数の増加に伴い、訪日外国人のレンタカー利用が増加することでレンタカー市場を底上げするものと考えている。今後、個人向け需要を中心にレンタカー市場規模は拡大が見込まれることから、2020年のレンタカー市場規模はユーザー支払金額ベースで、6,700億円と予測した。
また、2014年のカーシェアリング市場規模はユーザー支払金額ベースで、前年比45.3%増の154億円であった。カーシェアリング事業者におけるステーション数及び車両数が増加したことによって、サービス基盤の拡充が進んでいる。また、カーシェアリングでは特に平日昼間の車両稼働率の低さが課題とされるが、一部の法人において、社有車の減車に伴うカーシェアリング利用、タクシーの代替手段としてのカーシェアリング利用などを開始したことで、平日昼間の車両稼働率は改善傾向となったとしている。
カーシェアリング市場においては時間貸駐車場事業者の参入により、時間貸駐車場を活用したステーションの新規開設が可能であったことが市場拡大に好影響を与えたが、同事業者にとっても高稼働の時間貸駐車場をすべてステーションとして活用できるわけでもなく、限界があるものと考えるとしている。
一方で、都市部においては小売店舗に設置された駐車場を中心にカーシェアリングステーションを設置する動きが見られ、今後も増加していくものと予測する。これに伴い、周辺の会員数が増加するほか、カーシェアリングの利便性や利用方法が更に会員に浸透することで車両稼働率が増加していくことが期待される。こうしたことから、2020年のカーシェアリング市場規模はユーザー支払金額ベースで、295億円を予測した。(編集担当:慶尾六郎)