国内でのビール需要の縮小に対応すべく、積極的な海外展開を行っていたキリンホールディングス<2503>だが、19日に同社はミャンマー最大手のビール会社「ミャンマー・ブルワリー」を買収すると発表。ミャンマーのビール市場は経済成長にともない急速に伸長しており、同社は同市場が今後も消費拡大が見込めるものと判断して買収を決定した模様だ。
サントリーホールディングスの発表によれば、同社は「ミャンマー・ブルワリー」の発行済み株式の55%を、シンガポールの飲料大手「フレイザー・アンド・ニーヴ」から約697億円で取得し連結子会社化した。「ミャンマー・ブルワリー」の従業員は約1000人、2014年の売上高は約250億円、最終利益は約64億円となっている。同社はミャンマーの国民的ビールブランド「ミャンマー・ビール」や「アンダマン・ゴールド」などを持ち、ミャンマーのビール市場で半数以上のシェアを誇っている最大手のビール会社だ。
今回の買収により、キリンホールディングスの売上高に占める海外事業の割合は今の3割超からさらに高まる。国内の市場ではビール系飲料の出荷量が10年連続で過去最高を更新するなど、厳しい縮小傾向が続いている。そうしたなか、キリンホールディングスは09年にオーストラリアのビール大手「ライオンネイサン(現ライオン)」を、そして11年にはブラジルのビール大手の「スキンカリオール(現ブラジルキリン)」を完全子会社化するなど、積極的な海外展開を行っている。今回の「ミャンマー・ブルワリー」も、そういた展開の一環であると思われる。
ミャンマーのビール市場は民主化にともない外資系の企業の参入が相次ぎ、今後も伸長が見込める市場となっている。今回の買収の発表に際してキリンホールディングスは、「ミャンマー市場は民主化を受けて、外資系の企業の参入が相次ぐ魅力的な市場になっている。ビールの市場も成長の余地が大きく、拡大が期待できる。東南アジアでの基盤を強化し、一層の事業拡大を目指したい」とのコメントを発表している。(編集担当:滝川幸平)