違憲の疑いが強い安保法案の強行採決を行ったとの批判を受けないためにも、野党の賛成を取り付けたい与党(自民、公明)は、憲法の枠内での修正を求める維新の党とは着地点を得られず、次世代、元気にする会、新党改革との国会関与を強化するという点での修正で着地を見つけ、16日、法案へ賛同する味方を得た。
「弾薬の提供」は拳銃・小銃・機関銃などの他国部隊要員などの生命・身体を保護するために使用される弾薬の提供に限ること、核兵器・生物兵器・化学兵器など大量破壊兵器やクラスター弾、劣化ウラン弾の輸送は行わないことも合意事項に入れた。
ただ、大量破壊兵器やクラスター弾、劣化ウラン弾が輸送依頼の「弾薬」物資に入っているのかどうか、実際検品しない限り、知らずに輸送する危険が生じている。米国との間でこれをどう担保するのか、単に輸送する物資の書類で終わらせては実効性が懸念される。第3者の目での担保策が必要だ。
この日の自公と野党3党との合意内容では「防衛政策の基本方針を堅持し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならない。平和安全法制の運用に国会が十全に関与し、国会の民主的統制としての機能を果たす」との基本認識の下で9項目にわたり、政府に法律施行にあたって万全を期すべきとした。
主なものでは、存立危機事態の認定は武力攻撃を受けた国の要請か同意があること、重要影響事態では他国を支援する場合に当該他国の要請を前提にすること。
存立危機事態に該当するが武力攻撃事態などに該当しない例外的な場合での防衛出動の国会承認は「例外なく事前承認を求めること」。PKO活動で駆けつけ警護をした場合は速やかに国会に報告する。
平和安全法制において、自衛隊の活動について政府が国会承認を求める際、情報開示と丁寧な説明を行うこと。自衛隊の活動は180日ごとに国会に報告すること。
平和安全法制に基づく自衛隊の活動継続中と活動終了後、常時監視および事後検証のため、適時適切に所管の委員会などで審査を行うこととしている。
ただ、常時監視および事後検証のための国会組織の在り方、重要影響事態、PKO派遣の国会関与の強化については法案成立後、各党間で検討し、結論を得ると、法案成立優先の本末転倒の合意内容で、本来、常時監視や事後検証のための国会組織の在り方や重要影響事態、PKO派遣の国会関与の強化を法規定でどう担保するのかを決めたうえで、国会に掛けるのが筋といえよう。(編集担当:森高龍二)