8月の百貨店売上高、前年同月比2.7%増、高級時計フェアも好調

2015年09月21日 10:49

 日本百貨店協会によると、今年8月の売上高は4362億円あまりで、5 ヶ月連続で前年同月を上回った。上昇幅は+2.7%。外国人観光客や富裕層の恩恵を受けやすい都市部の百貨店が、全体を牽引した。一方、地方店は軒並み不調で、前年同月比マイナス1.1%となった。

 地区別では、雨天日が多かった北日本や西日本の一部で伸び悩んだものの、全国18地区のうち12地区で前年を上回る健闘ぶり。とはいえ都市と地方の差を見ると、その差は歴然としている。都市部では、10地区のうち9割が前年実績を上回ったのに対し、地方では4割未満にとどまった。地方百貨店の売上は、3ヶ月連続で前年比マイナスとなっている。

 商品別でみると、前半の猛暑と、後半の気温低下に応じて「衣料品」が前年並みを確保した。婦人服は-0.7%だが、紳士服は+0.7%、子供服は+3.1%など、おおむね好調のようだ。8月上旬は各地で猛暑日が続き、夏物ファッションがよく売れた。中旬以降は一転して、台風の影響で気温が低下。秋冬物のセーターなどが売れ始め、総額を押し上げたようだ。

 富裕層以外にも売れやすい「靴」や「ハンドバッグ」「ベルト」「財布」は、前年同月比+5.5%だった。手が届きやすい範囲での“プチ贅沢需要”が復活している可能性もある。

 昨秋から免税対象となった「化粧品」は+21.2%と、相変わらず絶好調だ。富裕層やインバウンド消費に支えられ、「美術・宝飾・貴金属」も+22.8%と2ケタ増を記録。株価の下落や経済の不透明要因による影響を感じさせない結果だ。

 訪日外国人の動向は、夏季休暇を日本で過ごす家族層が多く来店したことから、購買客数は293% 増、売上高も259.6%増と大幅に増えた。売上高は、統計開始以来、単月で過去3番目の約172億円を記録している。インバウンド消費の影響もあり、全体の4分の1を占める東京地区の売上高は、前年同月比6.1%の増加。国内の中流層、富裕層からも、毎年のように“前倒し需要”が高まる「ランドセル」の売上が大きく伸びたほか、各店の「秋物商材予約会」や「高級時計フェア」も好調だったようだ。(編集担当:北条かや)