女性用の育毛剤市場が活況だ。富士経済の調査によると、2004年度は60億円だった女性用スカルプケア市場が、2014度は177億5千万円、10年間で約3倍に拡大したことがわかった。高齢者だけでなく30代後半から40代の中年世代にも需要が拡がっていることが、大幅な伸長の理由とみられる。
これに伴い、メーカー各社もこぞって、女性用育毛剤市場への新規参入をはじめている。すでに先行しているメーカーも、それに対抗するかのように、新製品の投入や人気商品のリニューアルなどを活発に行っている。
例えば、サントリーHDの子会社であるサントリーウエルネスは昨年、通販限定ではあるものの、サントリー初の女性用育毛剤「フローリッチ」を新発売した。同製品は、ワインやウーロン茶などの製品で培った経験と技術を活かして、植物の花や果皮から抽出したポリフェノールなどからサントリーが独自に開発した成分を配合。頭皮環境を整えながら育毛・発毛を促すことで、加齢に伴う髪の悩みを解消し、髪のボリュームを取り戻すという。また、富士フイルムホールディングスも、「コラーゲン」「抗酸化」「ナノテクノロジー」という、写真フィルムの研究開発で培った3つのコア技術を応用したスキンケアブランド「アスタリフト」のラインナップに、新たに「スカルプフォーカス」シリーズを加え、女性用育毛剤市場への新規参入を果たした。
一方、すでに女性用育毛剤で実績のあるメーカーでは、資生堂グループの資生堂プロフェッショナルが、美容室などの店舗販売で人気の高い「スカルプエッセンス V」をリニューアルして強化し、需要の拡大に備えるとともに、後発他社を牽制する動きをみせている。
さらにミツバチ産品の販売で知られる山田養蜂場が販売する、ローヤルゼリーエキス配合の薬用育毛剤「薬用RJ地肌ケアエッセンス」も、とくに女性客に好評だ。同製品は頭皮や毛髪にやさしく働きかける2つの天然有効成分「タマサキツヅラフジエキス」「グリチルリチン酸ジカリウム」の他、「ローヤルゼリーエキス」をはじめとした7種の天然由来成分が配合されており、毛髪のハリ・コシ・ボリュームの悩みに応える製品となっている。同社では30~60歳の薄毛が気になる23名の女性を対象に調査を行っているが、それによると「薬用RJ地肌ケアエッセンス」を12ヶ月間毎日使用することで、91%の被験者に毛髪本数の増加がみられたという。
男性用と比べて、女性用の育毛剤は店頭ではまだ目にする機会は少ないが、決して需要が少ないわけではない。通信販売や訪問販売、美容師と相談ができる美容室での販売などでは、早くから需要があったし、近年では店頭に商品も徐々に増えはじめていることから、「恥ずかしい」というような抵抗感も以前より少なくなっているようだ。いつまでも美しい髪は若さの象徴。いずれは、美肌やダイエットに匹敵する市場に成長するかもしれない。(編集担当:藤原伊織)