第一生命保険、米中堅生保の一部事業を買収

2015年10月05日 07:45

 国内の生命保険会社による、アメリカ企業の買収が加速化している。7月には生命保険業界第3位の明治安田生命保険が約6250億円でアメリカの中堅生命保険会社「スタンコープ・ファイナンシャル・グループ」を買収すると発表したほか、8月には住友生命保険が、同じくアメリカの中堅保険会社「シメトラ・ファイナンシャル」を約4666億円で買収するとの発表を行っている。こうした活発なアメリカ企業の買収の背景には人口減少にともなう国内市場の縮小化があり、各企業は利益拡大をはかるために、世界最大の市場であるアメリカへの積極的な進出を続けている。

 こうしてアメリカ企業の買収が相次ぐなか、第一生命保険<8750>は1日、子会社である米プロテクティブ生命を通じて、アメリカの保険会社「ジェンワース」から事業の一部を買収することで合意したとの発表を行った。第一生命保険は「ジェンワース」が持つ定期保険27万3000件を約6億6100万ドル(793億円)で買収。プロテクティブ生命は今年2月に子会社化。今回の買収はそれ以来初の案件となる。第一生命保険はプロテクティブ生命の強みであるM&A(合併・買収)のノウハウを活かすことで、北アメリカでの事業拡大をはかりたい考えだ。

 買収にかかる資金はプロテクティブ生命の手元資金をあてる。金融当局の認可を前提に、2016年1月をめどに買収を完了させる予定だ。16年度以降に保険料収入で200億円前後、税引き前利益で数十億円の押し上げ効果を見込んでいる。

 アメリカは世界最大の市場であるだけでなく、人口増加を背景に今後も成長が期待できる市場となっている。M&Aに強みを持つプロテクティブ生命は、これまでに47件の買収を手がけており、第一生命保険の子会社となった以降も、M&Aの機会をうかがっていた。明治安田生命保険や住友生命保険が相次いでアメリカの企業の買収を行うなか、先行する第一生命保険はプロテクティブ生命によるM&Aを通じて、収益基盤の拡大をはかりたい考えだ。(編集担当:滝川幸平)