2016年卒の新卒採用状況について9月1日時点での大学生の就職内定率は78.1%。「就職活動」に対する心情は「晴れ」が多い。一方、就職志望者に対して意思に反し、企業から就職活動の終了を求められた経験が「ある」と13.6%の学生が答えていた。
団塊の世代が退職期を迎え日本の労働人口は減少への転換期を迎えている。一方、景気動向について見ると一時は21,000円をつけた日経平均株価は、8月上旬から始まった世界連鎖株安の影響で値下がりを見せてはいるものの、このところの米株高・TPP合意で続伸し18,000円を回復した。中国の成長率の減速を巡る議論は絶えないが、日本の景気はまだ回復局面にあると言えそうだ。今後、人手不足が本格化するであろう労働市場において2015年の就職活動状況はどのような様相を見せているのか。
リクルートキャリアが、16年卒の新卒採用状況について大学生5,823人/大学院生1,142人を対象に「就職プロセス調査」を実施したところ、9月1日時点での大学生の就職内定率は78.1%と前年同月の83.4%に比べて5.3ポイント低いものの選考解禁から僅か1カ月、まずまずの水準を保っていると言えそうだ。また「就職活動に対する心情」についての調査では、8月の就職活動に対する気持ちの高まり度は10段階評価で「4.89」と、前月より0.37ポイントの減少しているものの「就職活動」に対する心情を天気模様で表わすと9月の見通しは「晴れ」が30.0%と最も多く、次いで「快晴」が27.9%となり、先々を明るく捉えている学生が多いようだ。
一方、就職志望者に対して、「意思に反し、企業から就職活動の終了を求められた経験」の有無を聞いたところ「ある」と13.6%の学生が答えていた。内容は「他社の選考を辞退したら内定を出すと言われた。」「他の官庁を回らないことを条件に内々定を出す(国家公務員採用試験)。」「学校推薦状の提出を求められた。」という回答が寄せられた。
また、他企業への就職活動の制限となるような拘束を受けた経験が「ある」と答えた学生に対し、その内容を自由回答形で応えてもらったところ「面接直後に食事会に連れていかれた(8月1日)。」「選考解禁の8月初旬に研修旅行があった。」「8月1日から3日まで工場見学会への参加を強制された。」など選考解禁の8月初旬にかけて制限が行われたとみられる。
結果から、今年の傾向としては複数社から内々定を獲得する学生が予想される一方、そういった人気の高い学生に対して企業は内々定辞退に備える必要があった。そのため就職活動の終了を求める行為や拘束などといった学生を囲い込む行動につながったと見られる。学生の心模様は「晴れ」ではあるが、企業の人事担当者にとってはつらい「曇天」なのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)