今年8月、「女性活躍推進法」が成立した。制度は16年4月からスタートし、従業員301人以上の企業には(1)女性活躍に関する状況把握と分析、(2)数値目標や取り組みを記した行動計画の策定、(3)ホームページなどでの情報公開が義務付けられる。ビジネスパーソンたちはこの法律をどう見ているのか。
管理職などに特化した人材紹介サイト「ビズリーチ」が、自社の会員1395人(平均年収923.2万円)を対象に聞いたところ、女性活躍推進法に「反対」との回答が34.4%と、3人に1人を占めた。「賛成」も約65%と多いだが、意見は割れている。
調査は、女性活躍推進法が成立した直後の9月初旬に実施。回答者の年齢は20代が4%、30代が18%、40代が37%、50代が31%、60代以上が8%だった。これから企業の中核を担うミドル層が多い。役職では「一般社員」「課長クラス」がそれぞれ約3割、「部長・本部長クラス」が2割強、「役員クラス・その他」が2割だった。男女比は、男性が8割、女性が2割となっている。
「反対」の理由を自由に答えてもらったところ、「女性の社会進出による少子化、晩婚化、核家族化が進む」(30代男性)と、やや保守的な意見もみられる一方、女性からは「実力ではなく『数値目標の設定と公表』の義務があるから管理職になったと思われたくない」との声もあった。30代男性からは、「数値目標の達成が目的ではない」との意見も。形式だけでなく、「男性の育児休暇取得の推進、待機児童解消、税金負担軽減などやることはほかにある」。
「現在勤務している会社における女性活躍推進に向けた取り組み」については、「不十分」が4割以上を占めた。理由として、男性からは「女性管理職のロールモデルがいない」、女性からは「役員や上司が女性活用に消極的」がそれぞれ最も多く、男女で意識ギャップがある。
男性は「管理職として活躍する女性がそもそも少ないから、ロールモデルがおらず、女性が消極的になっているのでは?」と考える一方、女性たちは「役員や上司が『上を目指せ』と言ってくれない、自分でもキャリアを決めかねている」――そんな構図も浮かび上がる。回答した男女の平均年収は900万円以上で、平均的な会社員の2倍近く。ハイキャリアな男女の間でも、女性が「管理職」を目指す土壌が整っているとは言いがたいようだ。(編集担当:北条かや)