ラピスセミコンダクタ、超省エネマイコンボードを徹底した軽量化で実現、「空飛ぶORIZURU」

2015年10月11日 21:32

Rohm Orizuru_2

「ORIZURU」を手に飛行させるコンパニオンの向こう側で真剣な表情の男性が、開発に協力した超小型飛行体研究所の宗像俊龍氏

 千葉・幕張メッセで10月7日から開催された、IT・エレクトロニクス見本市「CEATEC JAPAN(シーテックジャパン)2015」のイベント会場で、半導体・電子部品メーカー「ローム(ROHM)」が展示したラジコン制御可能な空飛ぶ折り鶴型飛行体「ORIZURU」。その「折り鶴」が、同社ブースのなかを高さ6mほどでデモ飛行した。

 「ORIZURU」は、翼をはためかせて飛行する。紙でつくった本物の折り紙折り鶴が、羽ばたいて空を飛んだ。制作したのは、ロームのグループ会社「ラピスセミコンダクタ」だ。全長は約70cm、重さは約31g。出展ブース内をラジコンのように手元操作に従って自由に飛び回る。

 「ORIZURU」は、「ラピスセミコンダクタ」が開発した超軽量&省エネ型マイコンボード「Lazurite Fly(ラズライト・フライ)」があってこそ実現した。「Lazurite Fly」は、無線通信機器や加速度センサー、地磁気センサー、モータードライバなどをSDメモリーカードほどのサイズに凝縮して搭載。「ORIZURU」本体は和紙やカーボン製のパイプで作成し、徹底的な軽量化を図っている。風向きなどの条件さえ整えば、1度の充電で最大10~20分間の飛行が可能だという。

 「Lazurite」は「電子工作・ものづくりを応援する」ことを目的に、スタートアップやベンチャー企業と協業する「チャレンジコラボ」の一環で開発されたマイコンボード。誰でも簡単に電子工作やIoTのプロトタイプが作れるマイコンボード・周辺モジュールなどを含めたリファレンスデザインシリーズ。

 一般に向けてこの6月から「Lazurite Basic」の提供をスタートさせている。今回、そのマイコンボードの基板を3gにまで軽量化・凝縮した「Lazurite Fly」ができたことで「飛ぶ折り鶴」が完成した。

 開発に協力した超小型飛行体研究所の宗像俊龍氏は「実際の鶴のような、優雅な飛び方を追求した」と語り、日本文化の象徴である“折り紙”を通じて、日本のものづくりをアピールしていくという。ラピスセミコンダクタでは今後とも、誰でも簡単に使用できるマイコンボード「Lazurite」シリーズの商品ラインアップの拡充を図り、セミナーやワークショップを通じて初心者でも電子工作に取り組める活動を行なっていくという。

 なお、「CEATEC AWARD 2015 テクノロジ・イノベーション部門」において、超軽量・超省エネのマイコンボード「Lazurite Fly」が実現した折り鶴型飛行体「ORIZURU」は、同アワード“準グランプリ”を受賞した。(編集担当:吉田恒)