なぜ、いま、平和安全法制か?官邸HPに特集

2015年10月21日 07:40

 政府は官邸HPに20日から「なぜ、いま、平和安全法制か?」の特集ページをアップし、国民に安全保障環境の変化や安保法制での抑止力効果、外交活動を優先する姿勢、海外での自衛隊の活動を紹介し、理解を求めるとともに、疑問、質問、意見(2000文字まで)を受け付けるコーナーも設けた。

 菅義偉官房長官は「9月下旬に終わった国会で平和安全法制が成立したが、多くの皆さんから説明が足りない、国会でもっと議論をすべきなどの意見をいただく。多くの国民の皆さんに、なぜ、いま、この法律を整備するのかについて、お伝えする努力を続けなければならない。まずは見て頂いて、疑問や意見をお寄せください」と呼びかけを始めた。

 環境の変化では「北朝鮮は核・ミサイルやサイバーなどといった軍事能力を維持・強化していると考えられる。中国は軍事力を広範かつ急速に強化し、東シナ海や南シナ海をはじめとする海空域などにおいて活動を急速に拡大・活発化している」としている。

 また「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)などの国際テロ組織の活動の活発化・拡散、ロシアによるウクライナにおける力を背景とした現状変更、サイバー攻撃の高度化・複雑化などにみられるように、安全保障上の課題や不安定要因は複雑かつ多様で広範にわたっており、一国のみでの対応はますます困難なものになってきている」と紹介。

 また「急速なグローバル化の中で、安全保障上の脅威となる事案が世界のどの地域・領域で発生しても、我が国の平和と安全に影響を及ぼすようになっています。また、海外で活躍する日本人が増えている一方で、世界のテロ発生件数は増加しており、日本人が被害を受けるテロも残念ながら発生している」と対象は日本周辺に限らないと説明。

 ただ、PKO活動での駆けつけ警護のリスクや後方支援での戦闘準備中の戦闘機への給油活動、弾薬搬送の活動など、国会議論で紛糾した案件についての、自衛隊の活動の具体的な論点に対する解説はなんら紹介されておらず、この内容で、国民の疑問に答え、法制への理解を広げることができるかは疑問と言わざるを得ない。また、日米新ガイドラインと安保法制との対比紹介もないので、国民の具体的な懸念や疑問に答えるには程遠く、内容が希薄なものにとどまっており、改善の余地が相当ありそう。(編集担当:森高龍二)