堅調なスマートフォン部品市場。世界最小のTVSダイオード

2015年10月24日 19:18

s_0.5mmのシャープペンシルの芯と比較

ロームは静電気(ESD)から電子回路を保護するための電子部品として採用が進んでいるTVS(過渡電圧抑制)ダイオードを発表した。

 アメリカのIT専門調査会社IDCが公表している「世界のスマートフォン市場に関する調査」によると、2015年のスマートフォンの年間出荷台数は14億3650万台。前年比10.4%増加の見通しとなった。中国市場が成熟期に移行しつつあることを受け、先だって同社が予測していた11.3%から0.9ポイントの下方修正となったものの、堅調な伸びであることは違いないだろう。また、今後は機体の販売価格が下落することが見込まれていることから、引き続き市場は成長傾向にあるとみられ、2019年には年間出荷台数が19億台にまで達すると予測している。

 そんな世界のスマートフォン市場を支えていると言われるのが、日本の部品メーカーだ。

 2015年3月期連結決算では、京セラ<6971>が前期比5.5%増の1兆5265億円、TDK<6762>が10.0%増の1兆825億円、村田製作所<6981>は23.2%増の1兆435億円、日本電産<6594>も17.5%増の1兆283億円となり、電子部品大手7社のうち4社が1兆円突破を果たしている。IDCの市場予測にもあるように、スマートフォンなどの部品ビジネスは各社にとって今後も重要な収益源となりそうだ。

 しかし、好調だからといって、これら4社の独壇場というわけではない。1兆円には及ばないものの、他の3社も堅調な伸びをみせているし、中国や韓国など海外他社の部品メーカーもある。製品次第では、勢力図はすぐに塗り替えられるかもしれない。

 とくに今、業界で注目されているのがローム<6963>の得意とする微細化・小型化技術だろう。先日も同社は、静電気(ESD)から電子回路を保護するための電子部品として採用が進んでいるTVS(過渡電圧抑制)ダイオードを発表した。TVSダイオードとしては世界最小となる0402(0.4×0.2mm(0.1×0.05inch))サイズの「RASMID(R)0402サイズTVS」として注目を集め、販売を開始している。同製品は、驚異的な寸法精度(±10μm)を誇るロームの超小型部品「RASMID(R)シリーズ」のラインナップの一つで、従来品で面積比56%、体積比81%ダウンとなる業界最小クラスでありながら、高い静電気(ESD)保護能力を保持することに成功している。さらに、VRWM(ピーク逆方向電圧)3.3V仕様もラインナップし、スマートフォンなどの省エネ化(バッテリー長寿命化)にも貢献するという。

 小さなスマートフォンの筐体に内蔵されている部品点数は約1000点。コンデンサ、抵抗器、インダクタ、フィルタなどが所狭しに並んでいる。近年のスマホサイズの大型化は、画面の見やすさなどが理由とされてはいるものの、実際は多機能化による部品点数の増大に伴っているという側面もある。そんな中、超小型ダイオードをはじめ、ローム独自の小型化技術は、かなりのインパクトがあるだろう。(編集担当:藤原伊織)