人工知能でモバイルデバイスの脅威を分析するサービスが登場

2015年10月13日 07:53

 近年、企業でのスマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、モバイルデバイスからのマルウェアによる情報漏洩リスクが増大している。新型のマルウェアは世界中で1日に数十万個発生すると言われており、高度化した新型のマルウェアは一般的な対策ソフトでは検知できないものが多く、モバイルデバイスにも未知の脅威を検知するセキュリティ対策が求められている。

 今回、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)<4739>は、米国のLookout, Inc.と販売代理店契約を締結し、未知の脅威からモバイルデバイスを保護する法人向けモバイルセキュリティソリューション「Lookout Mobile Threat Protection」の提供を開始した。既にモバイルデバイス管理(MDM: Mobile Device Management)のサービスを利用している企業を中心に提供し、3年間で200社への導入を目指す。

 Lookout Mobile Threat Protectionは、AndroidとiOSの両方に対応した、モバイルデバイス上の未知のマルウェアを検知するクラウドサービス。Lookout Mobile Threat Protectionを利用することで、外部サーバに無断でデータを送信するようなマルウェアを検知することができる。さらに、今後マルウェアに発展する可能性があるアプリや、危険性の高いサイドローディングのアプリ、MDMでは検知できないJailbreakされたデバイスなどを検知することも可能だ。

 デバイスにアプリをインストールすることで、システム管理者が管理ポータル上からリアルタイムで各デバイスの脅威の状況を確認し、脅威への迅速な対応を促すことができる。Lookoutのサービスはコンシューマーも含め世界中で7,500万人以上に利用されているという。Lookout Mobile Threat Protectionは、既存ユーザーが実際に使用している全てのアプリ情報を元に、全アプリをコードレベルまで分解する。過去に発生した脅威とコード上の近似値を結びつけLookout独自の人工知能エンジンを利用して解析することで、従来は見過ごしていた未知の脅威につながる可能性を予測。脅威が発見されたら、その情報をシステム管理者に告知し、システム管理者は対象となるアプリのアンインストールをユーザーに促すことで、マルウェアによる感染の拡大を事前に阻止する。

 CTCでは2012年からMDMのクラウドサービス「deviceSAFE」を提供している。Lookout Mobile Threat Protectionと併用することで、マルウェアをはじめとした未知の脅威が確認されるデバイスに対し、MDMでは対応できない、マルウェアの除去やネットワークの切断、ファイルの消去などを促し、端末やアプリ・コンテンツ管理の他、モバイルデバイスからの情報漏洩も防ぐことができるとしている。(編集担当:慶尾六郎)