アメリカ主要企業の決算は7~9月期の発表が終盤。アメリカの発表推奨期限は決算締めの翌月末で、東証より半月早い。27日にUPS、メルク、ファイザー、コーニング、アップル、ギリアド・サイエンシズ、フォード、コーチ、アリババ、28日にニューモント・マイニング、マリオット、29日にマスターカード、スターバックス、リンクトイン、30日にシーゲイト・テクノロジー、エクソンモービル、シェブロンが発表する予定。
チャートを見てみると、8月下旬からずっと「17000~18000円台ワールド」の中で日経平均が動いている。もし、それがあと半年も1年も続いたら、8月21、24、25日のたった3営業日で2227円も暴落し「2万円台ワールド」から奈落の底に突き落とされた「8月の暗黒の3日間」は、後々「日経平均の2015年夏のパラダイム・シフト」と回顧されることになる。しかし、その出来事からわずか約2ヵ月後の10月末から11月にかけて「2万円台ワールド」に復帰できたとしたら、それはもはやパラダイム・シフトと呼ばれることはない。「小反動」として、せいぜい頭に「プチ petit(e)」がつくぐらいだろう。
そうなる可能性はある。その根拠の一つはチャートパターンで、もう一つは30日に金融政策決定会合を控えた日銀の台所事情だ。
23日の日経平均高値は18915円で、8月31日以来の18900円台をつけた。それにより、「17000~18000円台ワールド」の約2カ月間のチャートでは、深い谷が左右に浅い谷を従える「逆三尊底」のパターンが完成した。これは江戸時代の米相場で編み出されたチャート分析の古典「酒田五法」では、上昇開始のサインとされている。
逆三尊底は英語では「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」と言い、その名前は仏教の釈迦三尊像をイメージしている。法隆寺金堂にある国宝は中央の釈迦如来像が左右に菩薩像を従えている。今回の逆三尊底では、9月28日の安値16901円が釈迦如来、9月8日の安値17415円と10月15日の安値17758円が左右の菩薩にあたる。23日に19000円近くまで回復して、チャートの〃仏師〃はさかさまの釈迦三尊像を堂々完成させた。
今週以降はその功徳、御利益として、日経平均は「17000~18000円台ワールド」の中では少し上昇してはすぐにあっけなく上値を叩かれてきた輪廻から解脱し、2万円の天上界を目指せるだろうか?
今週末の30日、日銀は10月2回目の金融政策決定会合を開く。4月と10月に1日だけある月2回目の会合は本来、その日に発表される「日銀展望レポート」の内容を承認するぐらいの「プチ会合」とみなされ、そのため昨年10月31日も「何も出ない」と思われていた。だからこそ「黒田バズーカ第2弾」は意外性たっぷりな「突然の贈り物」になって、日本と世界の金融マーケットに効いた。
さて、今年はどうか? 贈り物への期待は充満しているが、22日のECB理事会でドラギ総裁が年内の追加緩和を示唆したことで、新聞では「黒田バズーカ撃ち方やめ」などと書かれている。マーケットアナリストの間でも「金融政策現状維持」の見方は根強い。
だが、前場にTOPIXが下落すると「昼下がりの日銀砲」が発射されて東京市場の株価を下支えしてきたETF買い入れの年間枠が残り少なくなってきており、最近の日銀は撃つべき時にも撃てずに株価の下落を指をくわえて見ていることをご存知だろうか?