経済的に厳しく、就学が難しい子どもに支給される「就学援助」。文部科学省がこのほど公表したデータによると、13年度に同制度を利用した小中学生は151万4515人で、前年度から3万7508人減少した。2年連続で減少したものの、少子化による要因も大きい。援助率は15.42%に達し、この20年で2倍以上に増えた。
学用品などの「援助率」は、今から約20年前の95年には6%に過ぎなかった。その後、経済が停滞し、援助率は右肩上がり。2000年代前半には10%以上に上昇し、11年には16%に迫る勢いまで達している。現在も15%と6人に1人の子どもが、学用品などの援助を受けており、高止まりだ。
「就学援助」を行う根拠は、「学校教育法」の第19条。「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない」とされている。申請が認められた場合は、学校生活(クラブ活動など)で使う様々な道具のほか、通学費や修学旅行費、医療費、学校給食費やPTA会費などが支給される。
対象者は、生活保護法で定められた「要保護者」(13年度は約15万人)と、市町村の教育委員会が「要保護者」に近い程度に困窮していると認めた保護者(13年度は約137万人)で、後者の認定基準は各市町村が決める。市町村別で「認定するかどうか」にはバラつきがあり、一律のはっきりした基準は設けられていない。文科省によると、進級するごとに学校で就学援助制度の書類を配付している市町村は61.9%で、4割の自治体はそもそも「援助制度」があることを保護者に知らせていない可能性もある。
政府は昨年8月末、「子どもの貧困対策に関する大綱」を閣議決定。国として就学援助の実施状況等を定期的に調査、公表するとともに、「就学援助ポータルサイト」を整備するなどの取り組みを進める。ただ、援助に使われる予算は非常に小規模だ。31兆円にのぼる社会保障予算の中で、就学援助のための支出は約8億円。高齢者福祉と子どものための福祉を単純比較することはできないが、あまりにも偏りがあるのは事実だ。(編集担当:北条かや)