近ごろ、住宅市場では二世帯住宅への関心が高まっているという。その背景にはやはり、日本が世界に先駆けて突入した超高齢化社会、少子高齢化の問題がある。また、震災の影響や子世代の収入不安、さらには消費税や相続税など、制度改正による負担増も、二世帯住宅に関心を寄せる大きな理由となっているようだ。
しかし、このようなネガティブな動機だけではなく、実はもっとポジティブな理由から、積極的に二世帯を望む家庭が増えていることも、二世帯住宅人気の原動力になっている。 例えば、嫁姑の仲が昔に比べて良くなったというのも、一つの理由になっているようだ。昔は、嫁は姑に絶対服従というようなイメージが強かったが、今はそれほどでもない。一緒に住んでも、精神的負担を感じる割合は格段に減っているという。また、少し前は子世代は結婚当初は1LDK~3LDKのマンションに住み、いずれは一戸建てを購入するか、親の住宅を相続するという人も多かったが、それならば最初から大きな二世帯住宅に住みたいと願う人も増えている。さらに、親世代の介護がしやすいこと、孫を日常的にお爺ちゃんお婆ちゃんに任せやすくなるので、子世代がレジャーを楽しんだり、共働きがやりやすくなるなど、メリットは多い。しかも、ドアが2つの完全分離型の二世帯住宅は、これまで2棟扱いだったが、それが改正されて1棟扱いになったことにより、相続税対策としても、かなり有利になる。
このような市場の流れを受けて、住宅メーカー各社も二世帯住宅に力を注ぐ動きが活発になってきている。
例えば、三井ホーム<1868>では「隣居」という言葉を用いて、ツインファミリーという二世帯プランの展開を行っている。「隣居」とは、親世帯と子世帯がいちばん近い「隣人」として暮らす思想で、お互いの生活におけるプライベートを尊重しながら、一緒に暮らすメリットもしっかり確保しようというもの。早い話が、程よい距離を保つことに配慮した間取りや設備を提案しているのだ。
また、アキュラホームでは、将来の二世帯住宅を予め想定した設計・建築をすることで、200万円程度での移行を可能としているという。またはこれを賃貸併用住宅として活用すれば、収入が得られる上に資産的な価値を高めることができる。さらには大容量の太陽光発電の売電収入によるダブル収入など、経済面でのより具体的なライフプランを提案している。
メリット、デメリットはさておき、親子三代家族で仲良く一つ屋根の下で暮らすことは、理想の人生といえるのではないだろうか。最新の住宅設備にもまさるとも劣らない居心地があるはずた。(編集担当 藤原伊織)