来年1月に控えた税制改革に伴い、相続税対策の一環として二世帯住宅への注目度が高まっている。しかし、いくら税制の優遇措置が受けられるといっても、二世帯住宅は単世帯住宅よりも高額になるため、慎重になる人も多いようだ。また、親子二世代だけでなく、孫世代まで同じ家に住まう可能性も考えると、購入価格や住宅の性能面等はもとより、将来に渡ってのメンテナンスや保証制度なども視野に入れておく必要がある。日本の住宅は、欧米よりも平均寿命が短いといわれ、以前はローンが完済する頃には建物の価値もゼロになっているなどともいわれていたが、現在の技術ではどうなのだろう。資産としての価値を考えるのなら、長期保証制度や点検、メンテナンスなどのアフターサービスは、目先の税金の優遇よりも重要視すべきことではないだろうか。
平成11年に通常国会で制定された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって、平成12年4月1日以降に締結された新築住宅の取得契約には、基本構造部分について10年間の瑕疵担保責任(修補請求権等)が義務づけられている。この基本構造部分とは、柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分や、雨水の浸入を防止する部分のことをさす。また、最近の住宅は、震災の影響などもあってユーザーの安全意識も高まっていることから、標準仕様でも長期優良住宅に充分対応できるような、高い基本性能を備えている商品が当たり前になりつつある。とはいえ、保証や点検、メンテナンスなどの内容は会社ごとに異なるので注意が必要だ。
たとえば、木造注文住宅大手の住友林業は、60年にわたる点検とメンテナンスのプログラムを設定して25年目まで無償点検を行っているが、25年目以降は10年毎の有償メンテナンスとなる。長期優良住宅の認定を受けないと、25年目の無償点検は実施されないなどの条件もある。三井ホームでも、「三井ホームのグッドストック」として、同様の点検、サポートを行っているが、こちらは30年まで無償点検期間となっている。また、「永代家守り」として、アフターサービスやメンテナンスを積極的に行っているアキュラホームは、構造体の保証期間は35年と大手メーカーの平均並みではあるものの、木造ではとくに気になる雨水侵入に関する保証では35年と、大手メーカーと比較しても長い保証プログラムとなっている。
家は一生の買い物。それは昔も今も変わらない。保証期間や保証内容は、家を建てる場合、どうしても二の次、三の次になりがちだが、一生住み続けることを考えれば、決して疎かにはできないポイントだ。また、無料保証の期間や回数だけを比較するのではなく、どんな時期にどんな部分を点検してくれるのかもチェックするようにしたい。購入した後も、しっかりと居住者に寄り添ってくれるメーカーを選択することが、最良の住宅選びのポイントではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)