【今週の振返り】「逆転勝ち」が3日続いて331円上昇した週

2015年11月14日 20:33

0205_026

マイナスで始まってもプラスで終わる。そんなパターンが12日まで3日続き7日続伸。野球やサッカーのプロチームと同じで、逆転で連勝できるのは「地力」の強さの証拠。

 日経平均終値は28.52円高の19671.26円、TOPIX終値は-1.49の1589.48。売買高は20億株、売買代金は2兆3541億円。値上がり銘柄数701よりも値下がり銘柄数1090のほうが多い。業種別騰落率もプラス業種14よりもマイナス業種19のほうが多かった。上昇セクター上位は医薬品、精密機器、銀行、機械、建設、水産・農林など。下落セクター下位はパルプ・紙、電気・ガス、石油・石炭、鉱業、その他製品、非鉄金属などで、資源・エネルギー関連の株価がふるわなかった。

 11日の日経平均は小幅に6日続伸。ヨーロッパ市場は高安まちまち。NYダウはアナリストにiPhoneの販売台数予想を引き下げられたアップルが足を引っ張りマイナスの時間帯が長かったが、終盤に原油先物の反発を背景にプラスに乗せ27ドル高の小幅反発。NASDAQは続落、S&P500は5日ぶりに小幅反発した。10月のアメリカの輸入物価指数は前月から0.5ポイント下落して121.7。石油・石油製品の-2.1ポイント下落が大きく影響している。原油価格についてIAEAが「1バレル80ドル台回復は2020年までかかる」というコメントを出していたが、この日の原油先物価格は5日ぶりに反発した。金先物は続伸。アメリカ長期金利は7日ぶりに低下した。シカゴVIX指数(恐怖指数)は15.37まで低下し、安定的にリスクオン。為替のドル円は123円台前半で前日と変わらない水準。ユーロ円は132円前半。CME先物清算値は19680円だった。

 朝方のドル円がやや円高に振れ、日経平均は69円安の19602円で始まる。TOPIXもマイナス5ポイントで開始。前日同様に「寄り安」で上昇して下げ幅を圧縮し前日終値に接近する。TOPIXがプラスに何度かタッチしても日経平均はマイナスのままで、前日終盤とは逆パターンの「NTねじれ現象」出現。日経平均は前日終値手前でもみあうが、午前9時10分の19663円をピークに19610円台まで急落した後、急反発して9時25分に19671円まで上がってプラスにタッチするという乱高下。この日も「鬼門」の「SQ週の水曜日」で、しかも5日続伸して25日移動平均乖離率は+5%を超えて今年の最高水準に達し、オシレーター指標は「買われすぎ」シグナルがフルに点灯していた。序盤の波乱はなおも続き、9時40分に8月21日以来の19700円を突破して19708円まで上昇したかと思えば、10時までに再びマイナス圏に下がってしまう。産業界悲願の三菱航空機の国産ジェット旅客機「MRJ」の名古屋空港からの初飛行は無事に成功し、ノーベル賞以来の明るいニュース。三菱重工業<7011>は人気を集めて大幅上昇。新規上場から1週間が経過した郵政3社も日本郵政<6178>を筆頭に揃って上昇していた。

 中国では11月11日は「光棍節」で、別名「独身の日」。アリババなどネット通販の売上が盛り上がるが、日本の小売業も「いい買い物の日」と名付けてちゃっかり便乗している。上海市場は小幅マイナスで始まるが、こちらもマイナス圏で乱高下。プラスにタッチしたと思えば大きく下落。10時台の東京市場はTOPIXはおおむねプラスでも日経平均は小幅マイナス圏で、19620~19660円のレンジで動きが小さくなる。11時台になると思い出したように一時プラスにタッチするが後が続かず、前引けは16円安の19654円。TOPIXは堅調に1590台に乗せていた。

 荒れ気味の上海市場はマイナスで午前の取引を終えた。昼休み中に先物が高値を取り、後場の日経平均現物は19700円台に乗せて再開する。しかしこの日の高値は更新できずに急落開始。アッと言う間にマイナスに落ち、さらに19650円も割り込む。いよいよSQ週の水曜日の「鬼」の土俵入り。〃中入り〃中に先物で持ち上げておいて急落の「吊り落とし」で土俵に叩きつける荒技は技能賞有力候補。為替のドル円は123円を割り込んだが、TOPIXはそんなに下がらずプラスを維持する。しかし午後1時すぎには日経平均もプラス圏に戻り「鬼の第一陣」は不完全燃焼気味。1時台は19700円まで戻れずその少し下の水準で小動きするが、2時までに19700円台を回復する。上海の午後の取引はマイナスで再開しながら下げ幅を縮めていく展開。2時台の日経平均はさらに上昇し2時25分に19724円の高値をつけ、TOPIXは1600の大台にあと1.1ポイントまで迫って、「鬼の第二陣」になるかもしれない危うさをはらんだ2時30分の中国の経済指標の発表を迎える。

 工業生産高(鉱工業生産指数)は+5.6%で市場予測の+5.8%よりも低かったが、小売売上高は+11.0%で市場予測の+10.9%よりも若干高い水準。上海市場は少し下落しただけでも、日経平均は工業生産高が市場予測より0.2ポイント悪いのを問題視し、19680円付近まで45円程度下落する。それでもマイナスになるほどではなく、回復して19700円にタッチする。今月のSQ週の火曜、水曜の「鬼門」の鬼は中途半端な「ヘタレ鬼」で終わり、2万円台復帰を目指す動きをほとんど邪魔しなかった。大引け直前は上値を抑えられて19700円台フィニッシュはならず、20円高の19691円で9月30日~10月7日以来の6営業日続伸。6日間で1008円も上げている。2日連続の「寄り安」になった。TOPIXは反発し1600の大台まであと4.68ポイント。日経平均先物日中取引は高値引け。日経VIX指数(恐怖指数)は21.17まで下落して真夏の「暗黒の3日間」前日の8月20日以来の低水準になり、リスクオンで「気分はもう2万円台」。上海総合指数は最後まで気まぐれにプラスとマイナスを往復した末、0.26%高と反発して終えた。

 日経平均終値は20.13円高の19691.39円、TOPIX終値は+5.84の1595.32。売買高は21億株、売買代金は2兆4447億円。値上がり銘柄数は1243、値下がり銘柄数は557。値上がりセクターは20業種で、その上位は鉱業、繊維、不動産、小売、食料品、空運など。値下がりセクターは13業種で、その下位はパルプ・紙、非鉄金属、鉄鋼、ゴム製品、精密機器、証券などだった。

 12日の日経平均はわずかにプラスで7日続伸。11日はベテランズ・デーの祝日のためNYの債券市場と外国為替市場は休場。証券取引所は開いたが、NYダウは55ドル安で反落。NASDAQは3日ぶりの反落でS&P500も反落した。ヨーロッパ市場は軒並み高。ネット系のアマゾン、フェイスブック、アルファベットが年初来高値を更新しながら原油安が重しで、さらにメーシーズの決算の悪さがネガティブサプライズになり朝から乱高下。終盤は戻したが結局小幅反落した。11日の「独身の日」セールのアリババの全中国売上は約1兆7500億円で前年比53%増。今や独身者に限らず中国の国民にとって「ネット爆買いの日」で、春節、国慶節に次ぐ大商戦に日本企業も参戦している。そのアリババと今年提携した34丁目のメーシーズの8~10月期決算はEPSは市場予測を上回ったものの減収減益で、年末商戦の見通しも通期業績見通しも下方修正し13.9%安。同じ百貨店のJCペニーはエリソンCEOが「連れ安されてはかなわない」と思ったのか8~10月期の既存店売上高は+6.4%とコメントしたが1.96%安。原油先物は反落し2ヵ月半ぶりの42ドル台。金先物は3日ぶりに反落し5年半ぶりの安値に沈んだ。為替のドル円はドル安で122円台後半、ユーロ円は132円近辺。CME先物清算値は19685円だった。

 ミャンマーは軍事政権が事実上の敗北宣言を出しスー・チー氏率いるNLDに政権交代へ。日銀の原田泰審議委員は「追加緩和は現段階では必要ない」と述べた。取引時間前に9月の機械受注が発表され前月比7.5%増で市場予測を大きく上回った。7~9月期の実績は4~6月期比10.0%減だったが、10~12月期は2.9%増と反転する見通し。10月の企業物価指数は101.5で、9月比-0.6%、前年同月比では市場予測を下回る-3.8%と弱い。