11月22日は「いい夫婦の日」。2002年、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった人気アーティストの小室哲哉氏とKEIKO(現kco)さんが入籍したことがきっかけで、世間的に広く知られるようになった記念日だが、実は同じ22日は「大工の日」でもあることをご存知だろうか。
「大工の日」は1999年に日本建築大工技能士会が制定した記念日だ。この日が大工の日とされた理由はいくつかある。一つは、11月が「技能尊重月間」であること。また、漢数字の「十一」を組み合わせると、「建築士」の「士」となること。さらにこの日は、大工の神様といわれる聖徳太子の命日であることなど、まさに大工の日に相応しい日なのだ。
大工といえば、建設業界では今、職人不足が深刻な問題となっている。建設業界自体は震災の復興や、開催が迫る東京五輪、消費税増税などの影響で需要は伸びている。しかし、それに対応できるだけの職人が不足しているのが現状だ。せっかくの勢いを止めてしまうばかりが、大工をはじめとする専門職の人材が確保できないために受注がままならず、黒字倒産も起きかねない事態となっている。
そんな中、国土交通省が管轄する「建設産業戦略的広報推進協議会」では、建設業界・外部有識者・行政が一体となって、若者の入職を促進する施策を進めているが、その一環として昨年度より、工業高校を訪問し、生徒に建設業の社会的な役割やものづくりの素晴らしさを直接語りかけ、交流するプログラム「工業高校キャラバン」をスタートさせているが、今年度からはさらに、さいたま市教育委員会と連携し、小・中学校を対象としたキャラバンをスタートさせている。
キャラバンの構成は、展示のほか、釘打ち、のこぎり、カンナがけなどの木工工事体験や、近い将来、建設業にも導入されるであろうロボットスーツ体験、クイズコーナーなど、小・中学生にも楽しみながら学び、興味を喚起させるようなプログラムとなっている。
とくに、実際の大工仕事を体験できるコーナーは人気で、子どもたちの評判も良かったようだ。ちなみに木工工事体験を担当したのは、木造住宅を手掛けるアキュラホームだ。同社は社長の宮沢俊哉氏は元大工で、毎年新入社員の入社式にカンナがけをするなど、「カンナ社長」のあだ名で知られる名物社長。国交省がキャラバンを導入する以前から、木の家を提供する企業の社会貢献活動として、小学校に赴いて、カンナがけ体験や、教室の机の天板の交換体験など、「木の素晴らしさ」「物の大切さ」「物づくりの楽しさ」を子どもたちに伝える「ふれあい授業」を行うなどの「木望の未来プロジェクト」を実施している。
11月22日は「いい夫婦の日」だが、いい夫婦、いい家族がいつも笑顔でいるためには、いい家が必要だ。そのいい家を作るためには当然、いい大工、いい職人が必要となる。いい職人を育てること、いい大工の多い国は、裕福な国づくりの基盤なのかもしれない(編集担当:藤原伊織)