パリのテロ事件で「共謀罪」創設議論、再燃か

2015年11月23日 09:02

 フランス・パリでのテロ事件を受け、伊勢志摩サミットや2020年オリンピック・パラリンピックを控え、閣僚の中から「共謀罪創設のため検討」が再び口に出るようになってきた。石破茂地方創生担当大臣は「今まで何度も廃案になってきた共謀罪について、今一度、真剣に考えなくてはならない」とブログでも発信した。

 石破大臣は「共謀罪という語感から世論の反発を招くことは必至ですが、現状のままでは各国共通の処罰法整備を目的として2000年に国連総会で採択された国際組織犯罪防止条約を批准することも出来ず(日本も同年に署名はしています)、重大な国際犯罪に問われて日本に逃げ込んだ犯人を、逮捕することも、外国に引き渡すこともできないこととなってしまい、日本がテロ組織の活動の抜け穴にもなりかねない」と共謀罪を再考する必要を説いている。

 石破大臣は「2006年の審議で、与党は適用対象を組織的犯罪集団に限定し、共謀しただけでは足らず『犯罪の実行に必要な準備その他の行為』があった場合に限り成立することにすることとし、『日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限してはならない』『労働組合その他の団体の正当な活動を制限することがあってはならない』という文言も追加し提案したが、与野党協議は決裂となった経緯がある」と協議が決裂し、頓挫したとしている。

 石破大臣は「日本さえよければいい、ということにはならない。担当当局が主体となって政府全体で判断すべきことだが、国民の懸念を払拭するに足る丁寧かつ真摯な説明が何より重要」と国民の理解が得られる内容での共謀罪の必要を提起した。

 日本弁護士連合会は2012年に共謀罪について「我が国の刑事法体系の基本原則に矛盾し、基本的人権の保障と深刻な対立を引き起こすおそれが高く、導入根拠とされる国連越境組織犯罪防止条約の批准にも、この導入は不可欠ではないから、政府は、共謀罪の創設を含む組織犯罪処罰法改正案を提出すべきではない」と共謀罪創設に反対する意見書を、外務大臣と法務大臣に提出している。共謀罪創設議論が通常国会でも出てきそうな気配だ。(編集担当:森高龍二)