日産が、ニチコン製の「EVパワーステーション」を活用した電力供給システムを市場に導入し、日産リーフの大容量バッテリーから一般住宅への電力供給を実現する等、EV普及のためのインフラが徐々に広がりつつある。半導体メーカーのロームが先日発表した、車載向け絶縁素子内蔵ゲートドライバなど、消費電力低減を実現する製品が増えれば、走行距離の伸長にも繋がり、EVやHEVの普及がさらに加速することになるであろう。ようやくEVやHEVの本格的普及が始まるのかもしれない。
こうした中、ロームは、さらに車載・電源機器向けに、高温環境下でも使用可能な超低IRショットキーバリアダイオード「RBxx8シリーズ」を開発したと発表。従来、車載向けに使用されていた整流ダイオードに比べて、消費電力を約40%削減することが可能になるという。
高温環境下で使用される車載・電源機器の回路では、熱暴走の懸念から整流ダイオードやファストリカバリ―ダイオード(FRD)が一般的に使用されている。しかし、整流ダイオードやFRDはVF値(順方向電流を流したときにダイオードに生じる電圧値。数値が小さいほど消費電力が少ない)が高いため、EVやHEVで求められる消費電力低減の実現が困難となっていた。その為、VF値が低いショットキーバリアダイオード(SBD)を、高温環境下でも安全に使用できる製品の開発要求が年々高まっているという。
今回ロームが開発したショットキーバリアダイオードでは、高温環境に最適なメタルを採用することにより、業界トップクラスの低IR化を実現。従来のSBDに比べてIRを約1/100に低減しており、Ta=150度でも熱暴走しないため、高温環境下での使用を可能としている。これにより、整流ダイオードやFRDからの置き換えが可能となり、従来のFRDに比べてVFを約40%低減という大幅な改善を実現しているという。また、低VF 化により発熱を抑えることができ、パッケージの小型化にも成功。EV、HEVの省スペース化にも貢献するものとなっている。
なお、本製品は、7月11 日から13に 東京ビッグサイトで開催される「TECHNO-FRONTIER 2012」のロームブースで展示する予定。