親の3人に1人「子の進学希望、お金の問題で叶えてやれず」

2015年11月30日 12:24

 日本は先進諸国の中でも、家計の教育負担が特に重い国だ。学費は国立、私立ともに値上がりを続けており、保護者の負担は増すばかり。連合が行った調査によると、子供を大学・大学院に通わせる保護者の3人に1人が「金銭的負担がネックになり、進学希望を十分に叶えてあげられなかった」と答えた。

 調査は連合(日本労働組合総連合会)が今年10月、ウェブアンケートで実施。大学生または大学院生の子どもの保護者1000名(父親487名、母親513名)の回答を得た。

 大学入学にかかる費用(入学していない大学分も含む)を聞いたところ、受験料の平均は15.2万円、「入学料」の平均は50.3万円だった。さらに在学中にかかる費用は、1年間の授業料が「50万円~75万円未満」(28.2%)、「100万円~125万円未満」(29%)が多く、平均は103.6万円。「国公立」が67.5万円だったのに対し、「私立文系」では103.8万円、「私立理系(医歯薬除く)」では133万円、「私立医・歯・薬学」では年間204.6万円だった。

 高額な学費のためか、「金銭的負担がネックになり大学生・院生の子どもの進学希望を十分に叶えてあげられなかった」と答える保護者は33.5%と、3人に1人にのぼった。世帯年収別にみると、金銭的な問題で「十分に叶えてあげられなかった」と感じているのは、年収500万円~600万円未満で50.6%、200万円~400万円未満では61.6%と多数を占めている。

 授業料を賄うため、奨学金を利用する世帯は多い。国公立では33.3%、私立・文系では30.3%、私立・理系(医・歯・薬・看除く)では30.4%と3割以上が奨学金を利用していた。一方、富裕層の割合が比較的多いとみられる「私立・医・歯・薬学」は23.1%と、他に比べて低い。 

 奨学金は、世帯年収が下がるほど利用率が高くなる。年収200万円~400万円未満の家庭では61.5%と、最も多くなった。返済義務のある奨学金を利用している世帯に聞いたところ、卒業までの借入総額(予定)の平均は301.8万円。日本の奨学金制度は、実質的には利子付きの学生ローンだ。将来性ある20代前半の若者が、(本調査では)大学卒業時に平均300万円以上の借金を背負うことになる。国は意欲ある若者のため、無利子や返済義務のない給付型の奨学金制度を拡充すべきだろう。(編集担当:北条かや)