14年の国内標的型サイバー攻撃向けセキュリティサービス市場は3,406億円、前年比成長率8.6%

2015年11月02日 07:45

 IT専門調査会社 IDC Japanは、2014年の国内標的型サイバー攻撃向けセキュリティサービス市場規模実績と2019年までの予測を発表した。これによると、2014年の国内標的型サイバー攻撃向けセキュリティサービスの市場規模は3,406億円で前年比成長率が8.6%だった。

 国内標的型サイバー攻撃向けセキュリティサービス市場は、巧妙化する標的型サイバー攻撃の増加によって、多層防御機能を備えた製品の導入が進展し、導入設計から運用に至るまで、高度な専門的知識が求められるようになった。これにより2014年の同市場は、コンサルティングサービスからシステム構築、運用管理に至るセキュリティサービス全般に対する需要が高まり、市場規模は3,406億円で前年比成長率が8.6%と好調だった。

 2015年以降はサイバーセキュリティ基本法の施行によって、情報通信や金融、クレジット、航空、鉄道、電力、ガス、水道、政府/行政サービス、医療、物流、化学、石油といった重要インフラ産業は、標的型サイバー攻撃に対するセキュリティ対策強化が求められることから、セキュリティインシデント対応サービスやマネージドセキュリティサービスといった高度な専門知識を有するサービスへのニーズが高まるとみている。同市場の2014年~2019年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は7.1%で、市場規模は2019年には4,799億円に拡大すると予測している。

 市場の5割超を占めるマネージドセキュリティサービス市場は、巧妙化するセキュリティ脅威に対する危機感の高まりから、外部の専門家に運用管理を任せたいという企業の意識変化と多層防御対策製品の導入の進展によって、専門知識を持ったエンジニアが多層防御対策製品を監視/管理する同市場へのニーズが高まっている。

 2014年の同市場の市場規模は1,907億円で前年比成長率が9.7%と好調だった。2015年以降も、巧妙化する標的型サイバー攻撃対策として多層防御機能を備えたセキュリティ製品へのマネージドセキュリティサービスの需要が拡大するとみている。同市場の2014年~2019年のCAGRは8.2%と標的型サイバー攻撃向けセキュリティサービス市場の中では最も高く、市場規模は2014年の1,907億円から2019年には2,827億円に拡大すると予測している。

 IDC Japanは、標的型サイバー攻撃向けセキュリティサービスを提供する事業者では、高度な専門知識を持っている技術者が不足しており、ユーザーの需要に対して十分なサービス提供を行うことが難しくなっていると分析している。(編集担当:慶尾六郎)