市中の現金と金融機関の手元資金を示す日銀当座預金残高の合計であるマネタリーベース(資金供給量、月末残高)が、2014年7月以来1年4ヶ月ぶりに前月を下回った。2日の日本銀行の発表によれば、11月末時点でのマネタリーベースは前年同月比30.8%増の343兆6698億円であったものの、前月比では0.2%減という結果であった。
マネタリーバランスとは、市中に出回る紙幣や硬貨、そして民間の金融機関が日本銀行に預けている資金「当座預金」の残高を合わせたもの。11月末時点でのマネタリーバランスは343兆6698億円であり、前月よりも約7500億円減少した。こうしてマネタリーバランスが減少した要因として、11月4日に政府が日本郵政の株式を売却し、民間のマネーを吸収したことや、日本銀行による短期国債の買い入れ額が前年同月よりも4兆5000億円減少したことにより、市場に供給されるマネーが減ったことなどが挙げられる。
日本銀行は物価上昇率2%を達成するべく、マネタリーバランスを年間約80兆円増加させる方針を示し、国債などの金融資産を買い入れて市場に大量のマネーを供給しているが、今回マネタリーバランスは1年4ヶ月ぶりに前月を下回った。ただし、現在のところの「80兆円増加」のペースは維持されている。
11月末時点のマネタリーバランスの内訳は、「当座預金」が前年同月比44.4%増の245兆8488億円、「紙幣」が同6.1%増の93兆1591億円、「硬貨」が同0.9%増の4兆6619億円であった。
そして11月のマネタリーバランスの平均残高は、前年同月比32.5%増の343兆7218億円で、過去最高を更新。内訳を見てみると、「当座預金」が同47.1%増の246兆5776億円、「紙幣」は同6.2%増の92兆4879億円、「貨幣」は同0.9%増の4兆6563億円。「貨幣」は今年度に入って高い伸びをみせており、03年3月の同6.3%増以来となる高い伸びであった。
今回のマネタリーバランスの結果について日本銀行は、あくまで一時的な現象であり、資金供給が増加傾向にあることは変わらないとしている。(編集担当:滝川幸平)