国内の企業間で取引される製品の価格水準を示す国内企業物価指数だが、9月の企業物価指数が中国経済への懸念により鉄くずの価格が下落したことなどの影響を受けて、前年同月比3.9%下落とリーマンショック直後の2009年11月以来となる大幅な下落をみせた。
日本銀行が14日に発表した9月の国内企業物価指数(2010年=100)は前年同月比3.9下落の102.2という結果であり、8月の前年同月比3.6%下落よりもマイナス幅が拡大した。液化天然ガス(LNG)が値下がりした影響により産業用の電力料金などが下落したことや、原油安で石油・石炭製品や化学製品の価格が下がったこと、さらには中国経済に対する懸念により鉄くずなどが値下がりしたことなどが影響したものとみられている。下落幅は09年11月以来、5年10ヶ月ぶりの水準となる。なお、前年比は0.5%下落であり、これで4ヶ月連続での下落となっている。
公表している814品目のうち、前年同月よりも上昇したのは300品目で、下落したのは383品目となっている。下落品目と上昇品目の差は前月よりも拡大している。項目別に見てみると、中国経済に対する懸念により鉄くずの取引価格が全世界的に下落していることから、「スクラップ類」は前年同月比32.8%下落と大きくマイナス。さらに鉄鉱石などの原材料の価格が値下がりしたことにより「鋼鉄」も前年同月比4.6%下落、原油価格の値下がりによりガソリンなどの「石油・石炭製品」も前年同月比26.9%下落と大幅な下落となった。
前月比で見てみると、燃料の液化天然ガス(LNG)の値下げにより「電力・都市ガス・水道」が大きく数値を押し下げた。そのほか、原油安の影響により「石油・石炭製品」や「化学製品」なども押し下げる要因となった。また国際市況の低迷により「鋼鉄」「非鉄金属」も下落した。
日本銀行は今回の結果に関して、原油や非鉄金属などの市況や、中国経済の変化が国内の需要に影響を与えているとの見方を示している。特に中国経済の先行きが与える影響については、引き続き注視していきたいとしている。(編集担当:滝川幸平)