高市早苗総務相は18日、閣議後記者会見で、携帯電話の料金引き下げに向けて行政指導を行うとの方針を示した。同日午後に、各携帯電話事業者へ利用者の多様なニーズに対応した料金プランの導入、行き過ぎた端末販売の適正化に取り組むことなどを要請。そして、こうした施策を通じて、「利用者の皆様にとって分かりやすく納得感のある料金・サービスを実現し、国民の皆様に、生活インフラでもあるスマートフォンが利用しやすくなったと実感していただけるよう取り組んでまいりたいと存じます」と述べている。
これまでも携帯電話の利用者の間からは、「料金が高すぎる」という声が何度も挙がっていた。NTTドコモ<9437>、KDDI<9433>のau、ソフトバンク<9984>の大手3社の料金プランのうち、最も安いプランでも月額6000円以上が必要となる。この金額をどう思うかは各個人によって異なるだろうが、利用者から「高い」という批判が出ても仕方がない金額だという印象を受ける。こうした料金に関すること以外にも、携帯会社を乗り換える利用者が端末購入の際に過剰に優遇されるシステムに対して、長期契約者が不満を覚えるという問題も表出していた。
こうした状況に対して、高市総務相は料金プランの改善要請。さらには、現在当たり前のように行われている「実質0円」という端末販売を禁じるガイドラインを作成するという。このガイドラインに違反すれば、電気通信事業法に基づいて業務改善命令が出せるようにする。そのほか、「格安スマホ」の普及策も盛り込まれている。
高市総務相の方針を受けて大手3社は、2016年3月の春商戦に向けて、スマートフォン(多機能携帯電話)利用者への低価格プランを提案し、さらには値引き縮小などに取り組む方針だ。はたして携帯電話の料金が「適正価格」となり、より多くの人が気軽に利用できるようになるかどうかは、この春商戦で提案されるプランが判断材料となりそうだ。
携帯電話の料金の引き下げについては、安倍晋三首相が今年9月に高市総務相に検討するよう指示していた。そして今月16日、総務省に置かれた有識者会議が最終報告を取りまとめていた。(編集担当:滝川幸平)