14日の日経平均は大幅に反落。前週末11日のNYダウは309ドル安で大幅反落。NASDAQは5000を割り、S&P500も下げた。その元凶は原油安。国際エネルギー機関(IEA)が供給過剰が続くという見通しを出したためNYMEXのWTI先物の終値は35.62ドルまで下落し、6年10ヵ月ぶりの安値に。6営業日続落で暗黒のトンネル。アメリカでは原油先物価格が下落すると、原油先物だけでなくシェブロンやエクソンモービルなどエネルギー関連企業の株、それを組み入れた株式ファンド、株価指数、インデックスファンド、デフォルトが相次ぐシェールガス開発企業などが発行した低格付け債(ジャンク債)を含めた社債、それを組み入れた債券ファンド、資源国通貨がみんな連鎖的に下落するため、株式市場では「直近で上がっていた株を売って穴埋めする」という動きが加速度的に進む。この日はジャンク債ファンドの「サード・アベニュー」が解約を停止して清算する話が飛び出し、2007年の「パリバ・ショック」がファンドの解約停止措置から始まった「デジャ・ヴュ」がマーケット心理を冷やし、全面安になった。
NYダウの大幅安と、ドル円120円台までドル安が進行したため、リスクオフで金先物は反発。前日は20を割っていたシカゴVIX指数は24.39まで急上昇した。それでも今週のFOMCで9年ぶりの利上げ決定はゆるがないという見方が有力。CME先物清算値は19000円をあっさり割り込み18680円。14日朝方の為替レートは、ドル円は121円近辺、ユーロ円は133円近辺だった。
パリで開かれていたCOP21は「パリ協定」を採択して閉幕した。途上国を含む全ての国に温室効果ガスの排出削減が義務づけられた点では前進だが、削減の数値目標の提出は義務でも、目標の達成は義務ではなく、罰則もない。実効性が疑われる理由はそこにある。消費税の軽減税率導入は「酒、外食を除く食料品全般」で与党合意。取引開始前に日銀から12月調査の日銀短観が発表され、大企業製造業の業況判断DIは市場予測の+11を上回る+12で前回と同じ、大企業非製造業DIは市場予測の+23を上回る+25で前回と同じ、設備投資は+10.8で前回を0.1ポイント下回ったが市場予測の+10.2よりも良く、事前の予測ほど悪くないが買い材料には非ず。大企業製造業の3ヵ月後の先行判断DIは+7で悪化していた。
メジャーSQは通過したが、欧米市場のリスクオフで11月5日以来の19000円割れ覚悟の日経平均は343円安の18887円で始まる。11日の「まぼろしのSQ」18943円も全くサポートラインにならず。TOPIXも大幅安で1520台。序盤は18900円に届かないまま18800円を割り込んで午前9時12分に18727円まで下げ、75日移動平均の18734円も下回る。9時45分には18680円のCME先物清算値にサヤ寄せするかのように18708円まで下げ、さらに18700円台も守りきれず10時4分に18611円まで下落した。2ヵ月ぶりの安値。先物主導の売り浴びせでTOPIXは1504まで下げた。それでも「ただいま、ねじれ中」の一目均衡表の雲の上限18602円はタッチせずにすむ。「雲のねじれは変化日」と言うなら、ここから反発か? しかし上海市場がマイナスで始まったこともあり回復は緩慢で、上海が上昇してプラスにタッチしても日経平均は18800円にタッチするのが精いっぱいで、400円を超える大幅安が続く。前引けは473円安の18757円だった。
上海市場の午前の取引は尻上がりのプラスで終了。日経平均の後場は18800円台に乗せて再開する。10月の鉱工業生産指数確報値は+1.4%の98.8で速報値と同じで、稼働率指数は+1.3%だった。第三次産業活動指数は前月比+0.9%で市場予測の+0.6%を上回った。11月の首都圏マンション市場動向は+4.8%で3ヵ月ぶりのプラス。日銀短観同様、発表された経済指標はどれも悪くない。しかし日経平均はおおむね18800円台前半に張りついたままで上値を追うことができない。日本時間の午後2時に再開した上海市場は小幅プラスを維持。日経平均が18800円付近でほとんど動かない状況はなおも続いたが、終盤はやや上向いて18850円を超え、上海がにわかに上昇し始めたのに背中を押されて朝の9時3分の18897円の高値を抜き、2時50分に18911円の高値をつける。しかし終値は抑えられ347円安の18883円で大幅反落で終了。11月4日以来の終値19000円割れ。日中値幅は300円だった。TOPIXは1500割れ寸前から1527まで戻した。上海総合指数は終盤に吊り上がり2.50%高で終えていた。株安の防波堤になって欧米市場の反発を導くか?
日経平均終値は347.06円安の18883.42円、TOPIX終値は-21.63の1527.88。売買高は20億株、売買代金は2兆3882億円。値上がり銘柄数は334、値下がり銘柄数は1531。値上がりは水産・農林1業種のみ。値下がりセクターは32業種で、下位は鉱業、証券、石油・石炭、機械、非鉄金属、鉄鋼などだった。
15日の日経平均は大幅続落。週明けのNYダウは前日終値をはさんでもみあったが、終盤に上げて103ドル高と反発。NASDAQもS&P500もプラス。ユーロ圏の10月の鉱工業生産指数は前月比+0.6%で市場予測を上回ったが、ロンドンFTSEが8日続落するなどヨーロッパ市場は全面安。12月のNYマーケット最大の関心事、原油先物市場は一時34ドル台まで下落したが、36.31ドルまで戻して7日ぶりの反発で終了した。
8月からの「チャイナ・パニック」でアセットが傷ついたヘッジファンドなどはクリスマスから年末年始にかけての休暇前でもありリスクを取りにくく、ポジション調整に走るのもしかたない。株式より流動性の低い社債市場では、ジャンク債の下落が止まらない上、その損失の穴埋めで高格付け債まで売られて不安におおわれる。アメリカの長期金利は上昇したがそれでも安定。金先物は反落した。為替のドル円は一時ドル安が進行したものの、121円近辺、ユーロ円は133円近辺で前日朝とあまり変わらない水準。CME先物清算値は18765円だった。