4月から電力自由化がスタートする。これまでは地域の電力会社からしか電気を購入できなかったが、電力自由化によって購入先を自由に選択できるようになる。送電線網は引き続き地域の電力会社が管理し、電力が不足した際は既存の電力会社が補う。この場合、インバランスペナルティーが発生し、新電力会社が既存の電力会社に罰金のようなものを支払わねばならない。新電力を利用しても停電しない仕組みだ。
電力自由化により、料金や環境など様々なニーズに対応できるようになる。まず、複数の電力会社の料金プランやサービスを比較して自由に選択できる為、すでに各社で競争が繰り広げられているのだ。100社以上が電力小売りに必要な小売電気事業者の登録申請をし、従来より安い料金やユニークなプランを発表している会社も出てきている。
セット割引も魅力の一つであり、電気メーカーは太陽光発電システムや家電用充電装置とのセット、自動車メーカーは電気自動車とのセットなど、新電力会社の得意分野と電気料金を組み合わせたプランが発表されている。また、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーによる電気、二酸化炭素排出量の少ない電気、原発由来でない電気を使いたい等、環境に配慮した電気を求める消費者にも喜ばれているようだ。
首都圏では東京ガス<9531>が最右翼と言われている。電気とガス、インターネットの「トリプル割」が目玉だ。シェアを守りたい東電<9501>はソフトバンク<9984>やニチガス<8174>との提携を発表した。易々とトップの座を明け渡すつもりはないと言わんばかりの強力なタッグである。他にも楽天<4755>と丸紅<8002>の提携、携帯電話大手のKDDI<9433>やNTTドコモ<9437>、ハウジングメーカー、コンビニなどが名乗りを上げている。
一方で、値上がりの可能性も否定できない。既に電力自由化を実施している諸外国では、電気料金が値上がり傾向にある。発送電分離が行われる2020年4月が大きな節目となりそうだ。(編集担当:久保田雄城)