電力自由化で電気料金の値上げに歯止め?

2015年04月13日 08:46

画・再生可能エネルギー買い取り中断がエコ住宅にも余波

2016年4月より、各家庭で電力会社を自由に選べるようになる。これまで一般家庭への電力供給は、国が定める主要電力会社10社に限られてきた。

 2016年4月より、各家庭で電力会社を自由に選べるようになる。これまで一般家庭への電力供給は、国が定める主要電力会社10社に限られてきた。しかし電力の完全自由化が実現されると、異業種からも市場参入が可能となり、価格競争とともに様々なサービス形態の出現が予測される。現在、輸入燃料価格の高騰や、再エネの買取制度によって電気料金は日に日に値上がりしているが、この自由化は、私たちの電気代節約にうまく繋がるのだろうか。

 電力自由化によって取り払われる大きな壁は、2つある。まず1つは、業種間の壁である。これまでは、一般家庭や小売店など低圧供給に限っては、法定の元に電力10社の独占状態であったため、私たちは供給側の言い値に従って料金を払わざるを得なかった。ところがここにあらゆる業種が参入してくると、価格競争は言うまでもなく、今までには思いも及ばなかったようなサービスがお目見えするかもしれない。

 すでにソフトバンク<9984>やKDDI<9433>といった携帯電話会社が、電力小売業への新規参入を発表しているが、携帯電話料金と電気料金をセットで支払ったり、これらが連動した割引サービスが実現できる。例えばソフトバンクと携帯電話契約した場合は、同社から電気も特別価格で買えるといったことが考えられる。また、東京ガス<9531>はこれまでにも発電と卸売事業に関わってきたが、自由化開始とともに一般家庭への小売業にも進出する。今までの都市ガスの大きな販売網と信頼を武器に、電力とガスのセット料金の導入や通信網の統一など、「ガス屋」としての付加価値や相乗効果を提供していく考えだ。

 もう1つ、自由化によって取り払われるものは、エリアの壁だ。現在は、主要10社の管轄地域があり、各家庭に電力供給する会社は固定されているが、それを需要側である私たちが、どこの会社から電気を買うか、地域に関わりなく自由に選択できるようになるのだ。自分のニーズに合った会社から最適なプランを選び、料金を支払う。その際に一般消費者に助言を行うコンサルティング企業も現れるなど、電力自由化に関連した新ビジネスも多様に展開されているようだ。
 
 電力の安定供給に不安要素が出てくるなど課題も多々あるが、今回の電力自由化決定は、時代の要請にマッチした大きな改革であると評価してよいだろう。(編集担当:久保田雄城)