VWの15年の世界販売、13年ぶりに前年を下回る

2016年01月13日 09:11

 北米での排ガス規制不正問題により業績悪化を招いた独フォルクスワーゲンだが、8日に2015年のグループ世界販売台数を発表した。それによれば、前年比2%減の993万600台であり、首位を争うトヨタ自動車<7203>の世界販売台数が1000万台を超える見通しから、トヨタ自動車が4年連続で首位を獲得することがほぼ確実となった。ただし、排ガス規制不正問題の影響は10~12月の3ヶ月間と限定的なことから、中国やブラジル、ロシアなどの市場の低迷が前年割れを引き起こした主な要因であると考えられる。

 15年の1~6月にはトヨタ自動車を抜いて首位に立っていたフォルクスワーゲンだったが、その後、9月に発覚した排ガス規制不正問題の影響によりブランドイメージを著しく低下させた。そして15年の世界販売台数は、欧州では販売台数を同2.5%増の404万台と伸長させたものの、南米やロシアでの低迷や、中国経済の減速などが影響して14年に初めて突破した1000万台を割り込む形となった。なお、こうしてフォルクスワーゲンが前年を下回るのは、02年以来13年ぶりのこととなる。

 フォルクスワーゲンの地域・国別の販売台数を詳細に見てみると、排ガス規制不正問題の影響を色濃く受けたアメリカでは、同1.2%増の60万7100台と小幅な伸びにとどまった。景気が減速している中国の販売台数は同3.4%減の354万8600台、西欧は同4.8%増の343万200台。これら2つの市場が同社の販売台数の7割を占めている。そしてブラジルやロシアで長期にわたって販売台数が低迷していることから、南米では同29.8%減の55万8300台、中東欧では同8.3%減の61万5100台と、それぞれ大きく販売台数を落とした。

 フォルクスワーゲンは今回の結果について、排ガス規制不正問題によるディーゼル車への影響を考えれば、1000万台近くを販売できたことは良い結果であったものの、16年についても依然として厳しい状況が続くという見方も示しており、今後、同社を取り巻く最大級のこの危機的状況から抜け出すために、大幅な組織改革を行うという考えをあらためて強調している。(編集担当:滝川幸平)