横浜の杭打ちデータ偽装、元請けにも責任――外部調査委の中間報告

2016年01月13日 12:56

 横浜市都筑区でマンションが傾き、杭打ち工事のデータが改ざんされていたことがわかった問題で、旭化成建材の親会社である旭化成は8日、弁護士3人からなる外部調査委員会の中間報告を公表した。データ流用が業界全体の問題であるとした上で、現場責任者が習慣的にデータ流用していたこと、元請け会社として現場管理が不十分であったことなどを挙げた。

 報告書では、現場責任者が単独で70本に及ぶデータ流用を行ったと断定した。現場責任者は、以前から元請業者や先輩にデータ流用を暗に示唆されていると思うようになっていたと述べたという。調査委は、「データ流用を当たり前と考える環境に長く身を置いていたこともあり、本件杭工事が施工された時点では既に『データを取れなければデータ流用をする』という習慣が身についてしまい、データ流用が悪いことであるという意識よりも『データを全て揃える必要がある』という意識の方を強く持っていた」と判断した。一方で現場責任者は「支持層への未達や根入れ不十分等の施工上の不具合を隠蔽する目的ではない」としているという。

 報告書では、元請け側の責任も追及し、旭化成建材は、建設業法に基づいて専任の主任技術者を置く必要があったが、他物件と兼務でその義務を果たしていなかったこと、 流用されたデータの中には、完全なコピーや切り貼りにより見た目が不自然になっているものなども存在し、注意深く観察すれば早期に気付くことも可能であったことなどを指摘、「三井住友建設、日立ハイテク、旭化成建材を含め、 流用に気付いた者は誰もいなかった。このような事後チェックの甘さもデータ流用を可能にした要因の一つであると認められた」と断じた。

 国交省が近く、各社に対して営業停止などの行政処分を下すものと見られている。(編集担当:城西泰)