自民党の行政改革推進本部長を務める河野太郎衆議院議員は民間企業で公務員が業務経験することで効率的機動的な業務遂行手法を身につけさせようと設けられた「官民人事交流」が擬装天下りに活用されていると指摘し、本来の目的を果たすために「官民交流に派遣できる年齢に明確な上限を設けることなど厳密なルールとイカサマ官民交流に加担した人事担当者責任の明確化を行う」よう、内閣人事局と人事院に要請したことをブログで明確にした。
この中で、河野議員は「大臣官房付の51歳を日本ゼオンに約2年間派遣し、戻って来ると同時に研究休職で京都大学へ。1年半後に54歳でそこから戻ると同時に退職し、1か月後に日本ゼオンへ就職」した事例や「51歳の職員を日本電産に2年間派遣し、戻ってきて研修所長を5か月つとめて退職、53歳。3か月後に日本電産に就職」した事例など、数例を示したうえで「いずれのケースも法律の目的で定めている人材育成にあたっていない。この制度は若手官僚に民間の経験をさせるもので、退職間近な官僚の偽装天下り先にするためではない」と強く改めるべき問題点を提起している。
また、河野議員は、他にもこんな例があるとして「45歳でスズキに派遣、3年後に戻ってきて半年後に49歳で退職し、スズキに就職」の事例や「40歳後半で民間に派遣した者3人全員が戻ってきてすぐに辞めて選挙に出馬」などをあげた。
河野議員は「最大の問題は人事院がこのような明らかに法律違反の民間への派遣を全て把握し、見て見ぬふりをしていたこと」とした。行政課題に柔軟かつ的確に対応するために必要な知識や能力を有する人材育成のための官民交流がゆがんだ形で活用されていることを憤るとともに、再発防止へのルール作りを提起している。国会で議論されることが期待される。(編集担当:森高龍二)